日本語教師という国家資格を、世界の平和をつくる力へ。なかよし学園×ルネサンス日本語学院、ウクライナ・シリアで広がる日本語教育
日本語教師という国家資格を、世界の平和をつくる力へ。なかよし学園×ルネサンス日本語学院、ウクライナ・シリアで広がる日本語教育 特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトのプレスリリース
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトがPR TIMESで配信したプレスリリースの原文を、Zero Press が転載して掲載しています。

特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト(所在地:千葉県松戸市、代表理事:中村雄一)は、ルネサンス日本語学院との連携のもと、日本語教育を通じて世界の人々と日本をつなぎ、教育による平和構築を進めています。
代表の中村雄一は現在、世界各国で続けてきた教育活動に、日本語教育の体系的な知識と教授法を加えるため、ルネサンス日本語学院の日本語教師養成講座を受講しています。
2026年8月30日には、ルネサンス日本語学院主催の無料オンラインセミナー「世界の現状から『平和』を考える~これからの日本語教師の可能性~」に登壇。カンボジア、ルワンダ、コンゴ民主共和国などでの教育実践を紹介し、日本語教師が語学を教える専門家にとどまらず、人と人、地域と地域、過去と未来をつなぐ存在になり得ることを伝えました。
ルネサンス日本語学院のセミナー案内
https://www.rn-ac.jp/news/seminar/001547.html
その学びと連携は、講演会の中だけにとどまりません。
2026年9月、なかよし学園はウクライナを訪問し、リビウ市立東洋言語・東洋武道中等教育学校「ブドーカン」で日本語・日本文化・平和教育を実施。ルネサンス日本語学院から提供された日本語教科書を現地へ届けました。

また、シリア・アレッポ大学では、内戦下からオンラインで日本語教育を続け、戦後80年を迎えた日本と「戦後0年」から復興へ向かうシリアを、ことばと教育でつないでいます。

国家資格となった日本語教師の専門性を、日本国内の教育機関だけでなく、戦争、貧困、分断の影響を受ける世界の教育現場で生かす。なかよし学園とルネサンス日本語学院の連携は、「日本語教師は世界の平和に何ができるのか」という問いに、実践によって答えようとする取り組みです。
世界11カ国の教室で見えてきた「ことばを学ぶ意味」
なかよし学園は2007年の活動開始以来、カンボジア、ルワンダ、コンゴ民主共和国、ウガンダ、南スーダン、シリア、ネパールなど、アジア・アフリカを中心とする国々で教育支援と平和教育を行ってきました。2026年9月にはウクライナを11カ国目の活動国として、キーウとリビウで授業を実施しました。
活動先には、難民キャンプ、元子ども兵の社会復帰施設、孤児院、地雷被害地域、ジェノサイドを経験した地域、空襲警報下の学校なども含まれます。
それぞれの国で、歴史、宗教、文化、生活環境は異なります。しかし、中村が各地の教室で出会ってきたのは、「学びたい」「自分の思いを誰かに伝えたい」「外国の人とつながりたい」「自分の国の未来をつくりたい」と願う人々でした。



日本語を学ぶことは、単に文字や文法を覚えることではありません。
日本の教育、文化、防災、保健衛生、科学技術、ものづくり、仕事、芸術など、新しい知識へアクセスするための手段になります。さらに、自分の経験を別の言語で表現し、国境を越えて誰かに伝えることは、自分自身と社会を見つめ直す学びにもなります。
特に戦争や貧困の影響を受ける地域では、「外国語を学ぶこと」が、将来の進学や就労だけでなく、閉ざされていた世界との接点を取り戻すことにつながります。
一方で、日本語教育は、日本の言葉や文化を一方的に広める活動であってはなりません。現地の言語、文化、歴史を尊重し、日本語を共通の窓口として、互いの経験を伝え合うことが重要です。
教える側と教えられる側を固定しない。日本から教材と知識を届けると同時に、世界の学習者から受け取った経験、問い、文化を日本へ持ち帰る。この双方向性が、なかよし学園の日本語教育の基盤です。
なぜ日本語教師は国家資格になったのか
日本国内では、在留外国人の増加や、留学、就労、生活、地域共生など、日本語教育を必要とする人々の背景が多様化しています。日本語教育の質を安定させ、専門性を持つ人材を育成することは、教育政策だけでなく、社会全体の重要な課題となりました。
2019年に施行された「日本語教育の推進に関する法律」では、日本語教育を受ける機会の確保や教育水準の向上とともに、日本語教育に従事する人の能力、資質、処遇の改善、資格制度の整備が国の責務として示されました。
これを受けて2023年に「日本語教育機関認定法」が成立し、2024年4月1日に施行。日本語教師の新たな国家資格である「登録日本語教員」の制度が始まりました。
登録日本語教員になるためには、原則として日本語教員試験に合格し、登録実践研修機関が実施する実践研修を修了したうえで、文部科学大臣の登録を受ける必要があります。認定された養成課程を修了した場合には、試験の一部が免除されるルートも設けられています。
文部科学省による制度概要
https://www.mext.go.jp/content/230531-mxt_hourei-000030167_1.pdf
この制度は、日本語を話せる人であれば誰でも教えられるという発想から、学習者の背景を理解し、目標を設定し、教材を選び、授業を設計し、学習成果を評価できる専門職として、日本語教師の役割を明確にするものです。
中村は、世界の教育現場で培ってきた実践経験に、言語習得、教授法、教材分析、授業設計、評価、異文化理解などの専門知識を加えるため、ルネサンス日本語学院で学んでいます。
資格取得そのものをゴールとするのではなく、国家資格によって示された専門性を、世界の教育現場でどのように活用できるのか。その可能性を、自ら実践し、社会へ伝えていくことを目指しています。

ルネサンス日本語学院での講演会――日本語教師の仕事を世界へ開く
2026年8月30日に開催されたオンラインセミナーでは、1940年代の日本、1970年代から80年代のカンボジア、1990年代のルワンダ、そして現在も紛争の影響が続くコンゴ民主共和国などを取り上げました。

戦争を経験した社会が、どのように教育を再建し、次の世代へ平和を引き継ごうとしてきたのか。中村は、自ら授業を行ってきた現場の写真や事例を交えながら、日本語教師が世界で果たし得る役割を紹介しました。



日本語教師に求められるのは、正しい文法や発音を教える力だけではありません。
学習者が何を必要としているのかを理解する力、文化的な背景の違いを調整する力、相手の中にある言葉を引き出す力、限られた環境に合わせて教材をつくる力も重要です。
これらの専門性は、日本国内の教室だけでなく、難民支援、国際協力、平和教育、学校間交流、地域復興など、世界のさまざまな現場で生かすことができます。
中村自身も養成講座の受講生でありながら、世界の現場では教育者として授業を行っています。「学ぶ人」と「教える人」を分けず、学んだことをすぐに実践し、その経験を再び学びへ持ち帰る循環が、今回のコラボレーションの特徴です。
ウクライナ・武道館学校へ日本語教科書を届ける
2026年9月7日と8日、なかよし学園は、ウクライナ西部の都市リビウにある公立の東洋言語・東洋武道中等教育学校「ブドーカン」を訪問しました。
同校は、日本語や中国語などの外国語、日本文化、武道を教育に取り入れている学校です。公式サイトでも日本語・中国語の独自教育プログラムや、日本語を担当する教員の配置が紹介されています。
武道館学校公式サイト
なかよし学園は同校で、折り紙、折り鶴、日本の平和絵本、書道、音楽、Nゲージ、防災カルタなどを組み合わせた授業を実施しました。



生徒たちは、日本語の言葉や文字に触れるだけでなく、その背景にある日本の歴史や文化、広島・長崎の経験、戦後復興、防災、ものづくりについて学びました。

さらに、ルネサンス日本語学院から提供された日本語教科書を学校へ贈呈。現地の日本語教員と児童生徒が、訪問後も継続して日本語を学べる教材として託しました。
空襲警報や停電が日常の一部となっているウクライナでは、学習を続けること自体が容易ではありません。それでも武道館学校の子どもたちは、日本語を学び、日本の文化に関心を持ち、自分たちの経験を日本へ伝えようとしていました。

日本語教育は、安全で設備の整った教室だけで行われるものではありません。戦争によって日常が脅かされている時にも、学びを止めず、自分の将来と世界とのつながりを持ち続けるための教育になり得ます。
教科書を贈ることは、その第一歩です。今後は、現地の教員と協力し、オンライン授業や日本の学校との交流など、教科書の先にある継続的な学習機会へつなげていきます。
ウクライナで行った平和教育の詳細は、「なかよし鉄道・ウクライナ未来のまちづくりプロジェクト」実施報告でも紹介しています。
なかよし鉄道・ウクライナ未来のまちづくりプロジェクト
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000145.000166170.html

シリア・アレッポ大学――戦時下のオンライン授業から、戦後0年の教室へ
なかよし学園の日本語教育を象徴するもう一つの実践が、シリア・アレッポ大学との交流です。
中村は、シリア内戦が続いていた時期から、SNSやオンラインを通じてアレッポの学生たちとつながり、日本語を教えてきました。
空爆、停電、通信障害によって授業が中断されることもありました。それでも学生たちは学ぶことを諦めず、「また授業をしてください」と連絡を続けました。中村は学生たちに、平和が訪れたら必ず会いに行くと約束しました。
2025年7月、その約束は実現します。

アレッポ大学の招致を受け、中村は同大学日本語センターを訪問。日本人講師として14年ぶりとなる現地授業を実施しました。
授業では日本語だけでなく、日本の戦後復興、平和教育、SDGs、科学、ものづくりなどを紹介。日本の児童生徒が制作したカルタや竹けん玉、ミニ四駆などを使い、学生が実際に手を動かし、考え、言葉にする参加型授業を行いました。
アレッポ大学での授業実施報告
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000166170.html
戦後80年の日本と、長い内戦を経て新たな社会を築こうとする「戦後0年」のシリア。
日本語教育は、その二つの時間をつなぎました。
学生たちにとって日本語は、日本文化への関心だけでなく、日本がどのように戦争から復興し、教育や技術によって社会を再建してきたのかを学ぶための言語でもあります。
同時に、日本側も、戦争と困難の中で学びを続けるアレッポの若者たちから、教育の意味と平和の価値を学んでいます。
(本文の続き・写真はPR TIMES掲載の原文をご覧ください)
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