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ガシャポンから出てきたのは、命を守り、国境を越える「ことば」。なかよし学園、カンボジアで「おもちゃ×EORE×識字教育」を実施

ガシャポンから出てきたのは、命を守り、国境を越える「ことば」。なかよし学園、カンボジアで「おもちゃ×EORE×識字教育」を実施 特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトのプレスリリース

出典: 特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト

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 NPO法人なかよし学園プロジェクト(所在地:千葉県松戸市、代表理事:中村雄一)は、2026年8月21日から28日まで実施した「カンボジアプロジェクト2026」において、公益信託今井記念海外協力基金2026年度助成事業の一環として、地雷・不発弾の影響が残る地域の子どもたちを対象に、EORE(Explosive Ordnance Risk Education/爆発性兵器リスク教育)と識字教育を組み合わせた授業を実施しました。

日本の生徒児童が作成したメッセージ入りのうちわや手紙を読むカンボジアの生徒たち

 本活動では、なかよし学園が世界各国で展開する「なかよしおもちゃプロジェクト」のガシャポンを活用。カプセルの中に日本の子どもたちが作った作品やミニレターを入れ、「遊ぶ」「開ける」「読む」「相手を想像する」「返事を書く」という一連の体験を、地雷から命を守る学びと結びつけました。

 日本からカンボジアへ手紙を届け、カンボジアの子どもたちが日本の友達へ返事を書く。言語を、暗記する教科ではなく「遠く離れた相手に気持ちや大切な情報を届ける手段」として使う、双方向型の国際教育です。

カンボジアの英雄AKIRAの地雷チームと行ったEORE

※児童を対象としたEOREは、安全が確保された学校および地域内で実施しています。児童が地雷原や危険区域へ立ち入る活動は行っていません。

■地雷を「知っている」だけでは、命を守れない

 カンボジアでは、長年にわたる地雷除去と啓発活動によって被害は大きく減少してきました。しかし、地雷や不発弾による事故は現在も続いています。

 カンボジア地雷対策・被害者支援庁(CMAA)の集計によると、1979年から2026年5月までに記録された地雷・不発弾等による死傷者は65,152人。2026年1月から5月にも27人が被害を受け、そのうち5人は18歳未満の子どもでした。

CMAA「2026年5月月次報告」

 危険が長期間にわたって日常の中に存在すると、繰り返される注意喚起が、子どもたちにとって「また同じ話」と受け取られてしまう可能性があります。

 そこで、なかよし学園は、EOREを単に危険物の写真や禁止事項を覚える時間にせず、子どもが自分から参加し、言葉を使い、誰かに伝えたくなる授業へと再設計しました。

授業では、地雷や不発弾を発見した際の基本行動である、

・近づかない

・触らない

・その場から離れる

・大人や関係機関に知らせる

というメッセージを、絵、短い言葉、身体表現、声に出す活動を通して確認しました。

 日本語の「地雷、ダメ」という言葉もジェスチャーとともに紹介し、異なる言語であっても「命を守りたい」という意思は共有できることを体験しました。

「地雷ダメ」を日本語、クメール語、英語で教える中村雄一代表

 国際地雷対策基準(IMAS)でも、EOREは知識を一方的に伝える活動ではなく、危険への認識を高め、安全な行動への変化を促す教育と位置づけられています。また、メッセージは対象となる子どもの年齢、文化、言語、生活環境に合わせ、理解され、実際の行動につながっているかを確認することが求められています。

国際地雷対策基準「IMAS 12.10」

地雷原近くの学校で行われたEORE
地雷の種類の説明を行う現地メンバー
日本にも地雷の啓発と世界の現状を伝える

■ガシャポンを、子どもの心を開く「学びの入口」に

 今回の授業で活用したのが、日本のおもちゃ文化を教育へ転換する「なかよしおもちゃプロジェクト」です。

 ガシャポンのハンドルを回す。カプセルが機械の中を動く音を聞く。何が入っているのか想像する。そして、自分の手でカプセルを開ける。

 この「次に何が起こるのだろう」という期待が、子どもたちの集中と好奇心を引き出します。

 しかし、カプセルの中に入っていたのは、市販のおもちゃだけではありません。日本の子どもたちが、まだ会ったことのないカンボジアの友達を思いながら作った作品と、小さな手紙です。

「これは誰が作ったのだろう」

「どこの国から来たのだろう」

「何と書いてあるのだろう」

「自分なら、どんな返事を書くのだろう」

 一つのカプセルから生まれる問いが、地理、言語、文化、創作、国際理解へと学びを広げました。

ガシャポンはプレゼントを配るための機械ではなく、子どもが自ら読みたい、知りたい、伝えたいと思う気持ちを引き出す「教育装置」として活用されました。

ガシャポンの中から出てきたのは、日本の生徒からの手紙だった。おもちゃを使った教育実践はカンボジアの教育関係者に大きな驚きと学びをもたらした

■手紙を書くことは、相手を知る探究学習

 手紙を書くとき、人は必ず「相手」を意識します。

 相手は何歳なのか。どの国で、どのような暮らしをしているのか。どの言語なら伝わるのか。難しい英語ではなく、どのような単語や絵を使えば気持ちが届くのか。

 そこには、相手の文化や生活環境を調べる探究があり、自分の伝え方を相手に合わせようとする配慮があります。

 今回の取り組みでは、次の三つの手紙を学習の軸としました。

1.日本からのお手紙

日本の子どもたちがカンボジアの相手を想像し、やさしい英語、日本語、絵や記号などを組み合わせてメッセージを制作しました。

日本からの手紙を一生懸命読もうとする生徒たち
日本からのうちわにもメッセージが
日本からのうちわに喜ぶ先生

2.ガシャポンの中のミニレター

小さなカプセルに入る限られた紙面で、「何を一番伝えたいのか」「短い言葉でどう表すか」を考えました。受け取った子どもにとっては、文字を読む先に実在する相手がいることで、読解が人との出会いに変わります。

ガシャポンを使ったプレゼントを実施
中から出てきたのは日本の生徒からの手紙や折り紙
気持ちを伝え合う手段として「言語」を使うことを日本、カンボジア双方が学ぶ

3.カンボジアから日本へのお手紙

カンボジアの子どもたちも、受け取るだけでは終わりません。日本の友達へ伝えたいことを考え、覚えた言葉、英語、絵などを使って返事を制作しました。

日本に向けてポスターを書くカンボジアの生徒たち
日本に向けてポスターを書くカンボジアの生徒たち
日本に向けてポスターを書くカンボジアの生徒たち
日本に向けてポスターを書くカンボジアの生徒たち

「支援する側」と「支援される側」を固定せず、両国の子どもが互いに書き手となり、読み手となる。この往復によって、言語はテストのための知識ではなく、人とつながるための手段になります。

ポスターを制作したカンボジアのクラス

■カンボジアの教育課題——就学の先にある「読める・理解できる・使える」

 カンボジアでは、初等教育の普及と学習成果の改善が進んでいます。一方で、基礎的な読解力には依然として課題が残ります。

 2024年の東南アジア小学校学習指標調査では、カンボジアの小学5年生の読解力は2019年から改善したものの、37%の児童が依然として最も低い習熟度の層に位置しました。また、最も経済的に困難な家庭の児童は、比較的豊かな家庭の児童より読解得点が16ポイント低く、地域や家庭環境による学習格差も指摘されています。

UNICEF Cambodia「SEA-PLM 2024」

 文字を読めるようになるためには、単語や文法を覚えるだけでなく、「読みたいもの」と「伝えたい相手」が必要です。

 今回の手紙交流は、日本の友達から届いた言葉を読み、自分の気持ちを返すという具体的な目的をつくります。地雷の危険を示す標識や注意書きを正しく理解し、誰かに危険を知らせることも、読み書きの力が命を守る行動へ直結する例です。

 なかよし学園は、単発の授業だけで国全体の識字率が向上したと評価するのではなく、今回の活動を、基礎語彙、読解、音読、表現への意欲を育てる継続的な識字教育の入口と位置づけています。

カンボジアで教育支援活動を続けるなかよし学園

■日本の教育課題——英語を「正解する教科」から「誰かに届ける言葉」へ

 この活動は、カンボジアだけを対象とした教育支援ではありません。

 文部科学省の令和6年度英語教育実施状況調査では、CEFR A1相当以上の英語力を持つ中学生は52.4%、CEFR A2相当以上の高校生は51.6%でした。いずれも改善傾向にある一方、国が掲げる60%以上という目標には達していません。また、英語による言語活動の充実が、生徒の英語力と関連することも示されています。

文部科学省「令和6年度英語教育実施状況調査」

 日本の子どもたちが抱える課題の一つは、学校で学んだ英語を、実在する相手に向けて使う機会が限られていることです。

 カンボジアの友達に手紙を書く活動では、「文法的に間違っていないか」だけでなく、「この言葉で本当に伝わるか」「相手がうれしくなる表現は何か」を考えます。

 英語を評価されるために使うのではなく、相手を知り、気持ちを届けるために使う。日本の子どもたちにとっても、英語学習、異文化理解、グローバル探究を一体化した実践となりました。

言葉を交わし、想いを伝え合うことで言語に対する関心を高め、識字率を上げる

■「地雷の危険を伝える子ども」を育てる

 EOREの目的は、授業を受けた児童一人だけが安全知識を覚えることではありません。

 授業で学んだ子どもが家庭へ帰り、弟や妹、保護者、近隣住民へ「近づいてはいけない」「触ってはいけない」「大人に知らせよう」と伝えることで、安全情報は地域の中に広がります。

(本文の続き・写真はPR TIMES掲載の原文をご覧ください)

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