空襲警報が鳴る地下シェルターに「未来」を走らせた。なかよし学園「なかよし鉄道・ウクライナ未来のまちづくりプロジェクト」を実施
空襲警報が鳴る地下シェルターに「未来」を走らせた。なかよし学園「なかよし鉄道・ウクライナ未来のまちづくりプロジェクト」を実施 特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトのプレスリリース
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトがPR TIMESで配信したプレスリリースの原文を、Zero Press が転載して掲載しています。

特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト(代表:中村雄一/千葉県松戸市)は、2026年9月、ウクライナの首都キーウと西部都市リビウにおいて、「なかよし鉄道・ウクライナ未来のまちづくりプロジェクト」を実施しました。

本プロジェクトは、日本全国から寄せられたNゲージ、岐阜県安八町の小中学生を中心に集められたレゴブロック、ブラックマヨネーズ吉田敬氏から提供された「どうかしてるぜ基金」で購入したミニ四駆を組み合わせ、戦争下にある子どもたちが「自分たちはどのような未来のまちで暮らしたいか」を考え、設計し、つくり、伝える平和教育です。
教材を実装したのは、キーウの鉄道模型・ミニチュア博物館「MINILAND.UA」、ブチャ出身のデュマ氏が子どもや退役軍人を支援するキーウ市内の教室、リビウ市立東洋言語・東洋武道中等教育学校「ブドーカン」の3カ所です。
現地の専門家、教育者、子ども、保護者、退役軍人と教材を使い、授業後も活用できる形で残しました。
「なかよし鉄道・ウクライナ未来のまちづくりプロジェクト」は、戦争が終わってから始める復興教育ではありません。戦争が続く今、子どもたちや市民が未来を考える力まで奪われないために行う、現在進行形の平和教育です。


■2022年から続く全面侵攻――子どもたちの「日常」が地下へ移った
2022年2月に始まったロシアによる全面侵攻は5年目に入りました。前線から離れたキーウやリビウでも、空襲警報、ドローン、ミサイル、停電への備えが日常となっています。
UNICEFの2026年6月報告では、2022年2月以降、3,600人を超える子どもが死亡または負傷。地下シェルターで学び、遊び、休む生活が常態化し、「子ども時代が文字どおり地下へ移った」と指摘されています。
キーウでは、なかよし学園の活動期間中も空襲警報が繰り返されました。9月4日には、中村雄一代表と中村里英事務局長が滞在していた場所から約100メートル先へロシア軍のドローンが着弾。現地報道によると、キーウ中心部のウクライナ保安庁本部を狙った攻撃で、少なくとも12人が負傷しました。
数日前まで安全だと思われた場所が、突然攻撃の現場になる。それが現在のキーウです。西部のリビウも「安全な後方都市」ではなく、学校では警報時の避難と授業継続を前提に教育が行われています。
なかよし学園は、空襲警報が鳴り響く同じ街で、子どもたちと未来をつくる授業を行いました。

■Nゲージ、レゴ、ミニ四駆――三つの教材を一つの未来へ
本プロジェクトでは、三つの教材がそれぞれ異なる役割を担います。
Nゲージは、交通、電気、エネルギー、学校や病院の配置を考える教材です。一本のレールから「誰と誰をつなぐのか」という問いが生まれます。

レゴは、頭の中に描いた家、学校、病院、公園を形へ変え、子ども自身が必要なものを考える教材です。これまでなかよし学園では世界各国でレゴを使ったクリエイティブ能力開発授業を行っています。

ミニ四駆は、組み立て、試走し、動かなければ直して再挑戦する教材です。その過程は、傷ついた社会を再建する営みとも重なります。なかよし学園ではコンゴ民主共和国やルワンダ、シリアなど、戦争によって傷ついた人々や少年兵として少年時代を奪われた人たちに「壊すよりも創る楽しさを教える授業」として、ミニ四駆を活用しています。

今回はこれらを組み合わせ「なかよし鉄道・ウクライナ未来のまちづくりプロジェクト」を行いました。想像し、話し合い、つくり、失敗すれば直す。この体験から「未来は自分たちもつくることができる」と実感することが目的です。
■原点は、柏市立名戸ケ谷小学校の「校長室から生まれた理科実験教室」
このプロジェクトの原点は、2025年度の「世界とつながる学び」で、なかよし学園が千葉県柏市立名戸ケ谷小学校を訪れたことにあります。
津久井智洋校長は、教室で過ごすことに難しさを抱える児童を校長室へ招き、その一角を小さな理科実験室に変えていました。そこで使われていたのが、津久井校長が長年愛してきたNゲージです。
列車が走ると電気と動力の仕組みが見え、線路や駅の配置から交通とまちの関係を考えられます。教室に入りづらかった児童も、模型を入り口に学びへ参加しました。
なかよし学園は、この「校長室から生まれた理科実験教室」に、戦争下の子どもたちが未来を考える教育の可能性を見いだしました。津久井校長はNゲージ授業を監修し、自ら寄付第1号者となりました。
鎌ケ谷市在住の津久井校長は、駅で、ウクライナから子ども2人と避難しているナセドキナ・オルガさんの姿をよく見かけ、言葉を交わしてきました。同じ地域で暮らす人が、戦争によって故郷を離れなければならなかった。ウクライナはテレビの向こう側ではない。その実感が、「今、自分にできることで貢献したい」という強い意志につながりました。
校長室の小さな線路と駅で交わされた言葉が、国境を越えるプロジェクトへ発展しました。

■日本全国から届いたNゲージ――模型に込められた人生ごと届ける
2026年8月、なかよし学園がNゲージの寄付を呼びかけると、全国から車両、レール、駅舎、橋、建物、パワーパック、情景部品が集まりました。
ウクライナ国旗の青と黄色に塗られた車両。新品同様に美しく、持ち主が大切に保管してきたことが分かる模型。ウクライナでも走っている海外車両や機関車。提供者がウクライナの人々を思い浮かべ、選び、整え、送ったことが伝わる品々でした。

模型には、提供者の子どもの頃の夢や家族との時間が込められています。その思い出ごとウクライナの子どもへ託す行動が、日本の市民による平和への参加となりました。








■安八町の子どもたちのレゴと「どうかしてるぜ基金」のミニ四駆
岐阜県安八町では、小中学生を中心にレゴブロックの提供を呼びかけました。日本の子どもが遊び、考え、作品をつくってきたブロックを、今度はウクライナの子どもが未来の家や学校をつくるために使います。

ミニ四駆は、ブラックマヨネーズ吉田敬氏から提供された「どうかしてるぜ基金」を活用して購入しました。今回は、熊本地震からの復興への思いを込めた「くまモンミニ四駆」も選びました。
災害から立ち上がってきた熊本の象徴を、戦争から未来へ進もうとするウクライナへ届ける。「どうかしてるぜ基金」は、玩具の購入費にとどまらず、子どもと退役軍人が共に学び、再挑戦するための教育資金として実装されました。

■MINILAND.UA――プロの模型制作者が認めた日本の教材
9月2日、中村代表と中村事務局長は、キーウの鉄道模型・ミニチュア博物館「MINILAND.UA」を訪問しました。
MINILAND.UAは、鉄道模型で現代ウクライナの都市、産業、暮らしを精緻に表現しています。

イヴァン氏の案内で展示を見学した後、パブロCEOらへ本プロジェクトを説明し、日本から託されたNゲージ、ミニ四駆、平和教材を贈呈しました。
専門的なジオラマを制作するスタッフは、模型の種類、状態、精巧さに驚きました。ウクライナカラーの車両や海外車両から、提供者の思いも伝わりました。レールをつなぎ列車を走らせると笑顔が広がり、模型が両国の共通言語になりました。

中村里英事務局長は、奈良県広陵町の靴下産業から生まれた「靴下折り紙」で折り鶴を制作。『はじめてのヒロシマ』『はじめてのナガサキ』を用い、戦争被害だけでなく、破壊の後に日本が教育とものづくりによって社会を再建してきたことを伝えました。

MINILAND.UAは、寄贈教材を展示品として保管するだけでなく、今後の子ども・学生向けマスタークラスや教育プログラムで活用する意向を表明しました。
同館からは「小さな模型は、人、都市、歴史、夢、未来という大きな物語を伝えることができます。小さなテーブルで日本から来た列車を一緒に走らせた時、言葉は必要ありませんでした。模型が私たちの共通言語になりました」とのメッセージが寄せられました。
日本全国から届いたNゲージは、現地の子どもたちの学びの中を走り続けます。
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