フリーランスの帳簿づけと確定申告の準備。1年目にやることの順番
独立して最初の一年で、多くの人が同じところでつまずきます。仕事は動いているのに、お金の記録が追いついていない。気づいたら年が明けていて、封筒に入れたままの領収書が机の上に積み上がっている。
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独立して最初の一年で、多くの人が同じところでつまずきます。仕事は動いているのに、お金の記録が追いついていない。気づいたら年が明けていて、封筒に入れたままの領収書が机の上に積み上がっている。
この記事では、フリーランスの一年目にやっておくとよいことを、順番に並べていきます。税務の判断は個別の事情によって変わるため、ここでは制度の細かい要件には踏み込みません。金額や要件に関わる部分は、税務署や税理士など専門家に確認してください。
1年目につまずきやすいところ
最初に、よくある三つのつまずきを挙げます。当てはまるものがあれば、そこから手を付けてください。
一つめが、後回しです。売上が立つこと自体はうれしいので、そちらに時間を使いたくなります。記録は後でまとめてやればいいと考えているうちに、量が増えて手が付けられなくなります。
二つめが、証憑の散逸です。紙のレシート、メールで届いた明細、アプリの中の履歴。置き場所がばらばらだと、あとから探すだけで時間が消えます。
三つめが、口座の混在です。生活費と事業のお金が同じ口座を通っていると、どの入出金が事業のものか区別できなくなります。一件ずつ思い出す作業は、想像よりずっと大変です。
この三つに共通するのは、あとでまとめてやろうとすると倍以上の手間になるという点です。逆に言えば、最初に仕組みを決めてしまえば、日々の作業はごく短時間で終わります。
もう一つ、心理的な要因もあります。数字を見るのが苦手だと、それだけで先送りしたくなります。だからこそ、判断を伴わない単純作業に落とし込んでおくことが効きます。
事業と生活のお金を分ける
いちばん効果が大きいのが、お金の通り道を分けることです。
まず、事業用の口座を用意します。屋号を付けた名義で開設できるかは金融機関によって条件が違うため、使いたい場合は事前に問い合わせてください。個人名の口座をもう一つ作って事業専用にする形でも構いません。
次に、カードを分けます。事業の支払いを一枚にまとめておくと、明細がそのまま記録になります。生活費と混ざらないだけで、あとの整理がずいぶん楽になります。
売上の入金先も事業用の口座にそろえます。取引先ごとに振込先が違うと、確認の手間が増えます。
生活費は、事業用の口座から生活用の口座へ、月に一度移す形にすると分かりやすくなります。都度引き出していると、どこまでが事業の支出か分からなくなります。
現金払いをどう扱うかも決めておきましょう。極力カードか振込にまとめ、現金が必要なときはその場でメモを残す。財布に入れたレシートは、帰ったら決めた場所に入れる。ここを習慣にできるかどうかで、後の負担が変わります。
自宅で仕事をしている場合、家賃や通信費のように生活と事業が混ざる支出があります。どう扱うかは事情によって変わるため、判断は専門家に相談してください。分ける前提で記録だけは残しておくと、相談もしやすくなります。
記録を続けるしくみをつくる
記録は、毎日やるものではなく、決めた日にまとめてやるものと考えると続きます。
たとえば月に一度、日付を決めます。その日に、口座とカードの明細を確認し、レシートを片づけ、請求と入金の対応を突き合わせる。一か月分なら、慣れれば短時間で終わります。
証憑の保存も、置き場所を先に決めておきます。紙は月ごとの封筒に入れる、データは年月のフォルダにまとめる。凝った分類にすると続かないので、時系列で並べるだけにしておくほうが現実的です。
電子で受け取った請求書や領収書の扱いには、保存に関する決まりが関わることがあります。要件は制度の改正で変わるため、所管官庁の案内を確認してください。
請求書を出す側の管理も忘れないでください。いつ出して、いつ入金される予定で、実際に入ったかどうか。ここが抜けると、もらい忘れが起きます。表計算の一覧でも十分です。
会計のソフトを使う場合は、口座やカードの明細を取り込める機能があるものを選ぶと入力が減ります。ただし取り込んだ内容の確認は自分で行う必要があります。

申告の前に用意するもの
年が明けてから慌てないために、何が必要になるかを先に知っておきましょう。
まず、一年分の取引の記録です。売上と経費が日付順に並んでいて、それぞれの根拠となる書類が確認できる状態にしておきます。
次に、取引先から受け取る書類です。報酬の支払いに関する明細が送られてくることがあります。届く時期は取引先によってばらつきます。
三つめが、控除に関わる書類です。保険料や年金の支払いに関する証明、医療費の記録など、該当するものが人によって異なります。何が対象になるかは案内を確認してください。
四つめが、本人確認に関する情報です。手続きの方法によって必要なものが変わります。電子で行う場合は事前の準備が要ることがあります。
五つめが、前年からの繰り越しがある場合の資料です。初年度なら関係ありませんが、二年目以降は必要になることがあります。
どの書類がいつ届くのかを一覧にしておくと、待ちの状態が把握できます。届かないものがあれば、早めに問い合わせてください。
作業の時期も考えておきましょう。申告の受付が始まる直前は、相談の窓口も会計のソフトの問い合わせも混み合います。分からないことが出そうだと感じているなら、早い時期に着手して質問できる余裕を作っておくほうが安全です。
前年と比べて事業の内容が変わった場合は、その旨を整理しておくと相談がしやすくなります。取引先が増えた、扱う仕事の種類が変わった、大きな設備を買った。こうした変化は、扱いが変わる可能性のある部分です。

収入が安定しないときの備え
一年目は、月ごとの入金額が大きく動きます。ここへの備えも、お金の管理の一部です。
まず、入金の時期を把握してください。納品から入金まで一か月以上かかる取引もあります。仕事をした月と、お金が入る月がずれることを前提に、手元の資金を見ておきます。
次に、単価と稼働時間の関係を記録しておくと役に立ちます。実際にかかった時間を残しておくと、次の見積もりの根拠になります。感覚だけで請けていると、忙しいのに残らないという状態になりがちです。
案件の探し方も、複数の経路を持っておくと波が小さくなります。知人からの紹介だけに頼ると、そこが止まったときに空きができます。案件を紹介する仲介のサービスを併用する人もいます。フリーランスボード
では、条件を指定して案件を探せる仕組みが案内されています。掲載の内容は時期によって変わるため、最新の情報は公式サイトで確認してください。
保障の面も見ておきましょう。会社員のときにあった仕組みは、独立すると自分で用意することになります。仲介のサービスの中には、支援や保障のメニューを用意しているものもあります。内容と条件は各社で異なります。
なお、収入や案件の獲得を保証できるものではありません。条件は時期やスキル、地域によって変わります。契約の前に、報酬の支払い時期や中途解約の扱いを確認してください。
サービスを選ぶときの確認事項
支援サービスや仲介を使う場合、共通して見ておきたい点を挙げます。
まず、対応している範囲です。書類の作成までなのか、その後の記帳や申告につながるのか。案件の紹介なら、どういう分野や働き方が中心なのか。
次に、料金の形です。登録は無料でも、使う機能によって費用が発生する場合があります。どこからが有料かを申し込みの画面で確認してください。
三つめが、契約の期間と解約の条件です。一年目は状況が変わりやすいので、見直しやすい形が向いています。
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では、住所の利用や郵便物の受け取りに対応したプランが案内されています。自宅の住所を出したくない場合の選択肢になります。条件は変わることがあるため、公式サイトで確認してください。
四つめが、問い合わせの窓口です。分からないことが出たときに聞ける先があるかどうかは、初年度ほど効いてきます。
五つめが、情報の扱いです。取引や報酬に関する情報を預けることになるため、管理の体制を見ておくと安心できます。
よくある質問
いくらから申告が必要ですか。金額の基準は制度と個別の事情で変わります。国税庁の案内を確認するか、税務署に相談してください。
レシートは何年保存しますか。保存の期間は帳簿の方式などによって定められています。要件は改正されることがあるため、最新の案内を確認してください。
自宅兼事務所の家賃はどう扱いますか。生活と事業が混ざる支出の扱いは、状況によって判断が分かれます。専門家に相談してください。
会計は自分でできますか。取引の数が少なければ自分で進めている人もいます。判断に迷う場面が増えてきたら、専門家に依頼する選択肢を検討してください。
口座は必ず分けないといけませんか。決まりというより、あとの作業を楽にするための工夫です。分けておくほうが記録の手間は減ります。
請求書に何を書けばよいですか。取引先から様式を指定される場合があります。まず相手に確認し、指定がなければ一般的な項目をそろえてください。
前の勤務先の年末調整はどうなりますか。年の途中で退職した場合の扱いは状況によります。手元の書類を持って税務署に相談してください。
案件が途切れたときはどうしますか。単価と稼働の記録を見直し、経路を増やすことから始める人が多いようです。生活費の見通しも早めに立ててください。
まとめ
一年目にやることは、分ける・残す・月に一度見る、この三つに集約できます。
口座とカードを事業用に分け、証憑は決めた場所に時系列で残し、月に一度の作業日を決めて突き合わせる。判断を伴わない単純作業にしておくと、忙しい月でも続けられます。金額や制度の要件は個別の事情によって変わるため、迷ったところは早めに税務署や税理士へ相談してください。届け出まわりの話は https://zero-press.net/columns/kojin-kaigyou-todoke に、独立後の保障の考え方は https://zero-press.net/columns/freelance-hosho-fukurikosei にまとめています。





