約1万2千人が働く工業専用地域での地震発生を想定=三河湾明海地区産業基地運営自治会と合同で応急救護所訓練を実施
約1万2千人が働く工業専用地域での地震発生を想定=三河湾明海地区産業基地運営自治会と合同で応急救護所訓練を実施 豊橋市のプレスリリース
豊橋市がPR TIMESで配信したプレスリリースの原文を、Zero Press が転載して掲載しています。

愛知県豊橋市の三河港明海地区には、国内外の有力企業が集積しており、約1万2千人が働いています。令和8年10月21日(水)、豊橋市は三河湾明海地区産業基地運営自治会と合同で応急救護所の訓練を実施し、地区内の事業所など56団体197名が参加しました。
明海地区は埋立地で、市街地との接続は橋梁のみ。大規模災害時には交通が遮断され、「陸の孤島」となるリスクがあります。また津波や液状化の発生も懸念されます。
訓練の前半では、地震発生直後の各企業や豊橋市との情報伝達訓練を実施。後半では応急救護所が開設された場合を想定し、負傷者の搬送や医師によるトリアージや応急処置が行われたほか、自分たちで負傷者の手当てができるよう、雑誌などの身近なものを使った応急手当のレクチャーも行われました。
企業や事業所の枠組みを越え、56もの団体が合同で訓練を実施することは、全国的にも珍しい取り組みです。

ドローンや専用の無線通信機器「ハザードトーク」を活用した情報共有
訓練の前半では、地震発生直後、各企業やその周辺の被害状況を速やかに把握し、その情報を明海防災本部や豊橋市へ共有し、反対に豊橋市から市内の被害状況を明海防災本部を通じて各企業へ共有する訓練が実施されました。
被害状況の共有の際には、専用の無線通信機器「ハザードトーク」を活用。災害時にも使える通信手段で、音声だけでなく画像のやり取りも可能であるため、より正確に被害状況を共有することができます。
また、各企業が保有するドローンを活用した被害状況の確認も実施。明海地区周辺の道路や橋梁の状況、応急救護所の開設が予定される「明海少年広場」の状況も豊橋市へ共有し、応急救護所の開設が可能か判断し、医療従事者の確保をもって、開設指示を受けました。



医師会などと合同で応急救護所訓練を実施
訓練の後半では、明海少年広場で応急救護所の設置や運営訓練、応急手当の方法のレクチャーが行われました。応急救護所は中学校区ごとに屋内建物に指定されていますが、明海地区は屋外が指定されているため、テントを設営する必要があります。


応急救護所運営訓練では、負傷者の搬送や受付、自身で話せない負傷者については付添者による医師への引継ぎなどが行われました。負傷者の想定は、「倒れてきた重機の下敷きになった」「搬入トラックを運転中、地震速報に気付いて停車したが、後続車に追突された」「激しい揺れで破損したボイラーからの熱風を浴びた」など、工業地域ならではのものが作成されました。


搬送されてきた負傷者に対しては、医師がトリアージを実施。話の受け答えが可能かどうかや負傷箇所など、負傷者の重症度に応じて、治療や搬送順位を決定しました。

応急手当の方法のレクチャーも行われました。講師は、今回の訓練に参加した企業の保安員の方が担当。レクチャー内容の企画も担当しました。
ビニール袋や雑誌など、身近なものを利用した応急手当の方法や、毛布とパイプを使った担架の作り方、負傷者を搬送する際に気を付けることなどがレクチャーされました。参加者からは、「耐荷重はどれくらいですか?」といった質問も出されました。
「ここで働く人全員が家族の元に帰ることができるように」

今回の訓練について、三河湾明海地区産業基地運営自治会 防災会長の岡田さんにお話を伺いました。
明海地区は、大災害が起こった際、市街地との橋梁が寸断され孤立する恐れがある地域です。また工業専用地域で居住者がおらず、一般的な避難所などがありません。そのため、各企業が従業員の安全確保に責任を持つ「自助」と、単独では対応が困難な課題についてはお互いを助けあう「共助」を、発災直後の一定期間を乗り切るために必要な基本理念としています。
岡田さんは訓練の意義を「明海地区の特殊な立地条件を理解し、従業員の命を守ること。全員が家族の元に帰るために必要なこと」と語ります。
また、「各企業間の共助を実施している例は全国的に見ても少ない。協力して同じ方向に向かう意識があるのはありがたいことです」としつつも、「大きな企業、中小企業それぞれに様々な事情がある。助け合いを大切にしていく意識をもっと深く理解してもらうことが大事」と課題を語りました。
さらに、「やったことがある・見たことがあるという経験があるから、いざという時に体が動く。今日も多くの方が参加してくれていますが、それでも全従業員約1万2千人から見るとわずかな数字。働く人全員に活動を知っていただきたいと思っています」と、来年の訓練内容の検討を始めていました。
令和8年度防災功労者内閣総理大臣表彰を受賞

堤外地の工業専用地域である、明海地区全体の共通リスクに備えるため、情報伝達訓練などの企業間連携を強化した取り組みを実施しているほか、年に1回総合防災訓練として豊橋市と連携した応急救護所開設・運営訓練を継続的に実施していることや、こうした実践的な取り組みの成果として「明海地区防災ガイドライン」の策定や地区内企業へ専用の無線通信機器の導入促進など、地区全体の防災力向上に貢献することで、企業ごとのBCP強化や地域連携に多大な貢献をしていることが評価され、令和8年度防災功労者内閣総理大臣表彰を受賞しました。
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