資金調達のプレスリリース。書ける範囲と注意点
調達額・投資家・使途など何をどこまで書くか、投資家との調整、情報解禁の扱いを含めて実務目線で解説します。

資金調達の発表は、スタートアップにとって最も注目されるリリースの1つです。同時に、関係者が多く、開示できる範囲の調整が必要な種類でもあります。
一般的に書く項目
- 調達額(総額。「約○億円」という書き方も一般的)
- ラウンド(シード、シリーズAなど)
- 引受先・投資家名(リード投資家を明示することが多い)
- 調達方法(第三者割当増資、融資など)
- 資金使途(何に使うか)
- 累計調達額(これまでの合計)
事前に必ず投資家と調整する
ここが最も重要です。次の点は、必ず投資家側の了承を得てから書いてください。
- 投資家名を出してよいか。 非公開を希望する投資家もいます
- 金額を開示してよいか。 「非公開」とする場合もあります
- 発表のタイミング。 投資家側も同時に発表する場合、日時を合わせます
- 文面の確認。 投資家名を出す場合、リリース文の事前確認を求められることが一般的です
無断で投資家名や金額を出すと、関係に深刻な影響が出ます。必ず書面かメールで合意を残してください。

情報解禁を設定する
複数の関係者が同時に発表する場合、情報解禁の設定が必要です。解禁時刻を分単位で合わせ、予約配信で自動公開する形が確実です。手動配信だと数分のずれが生じ、投資家より先に出てしまうことがあります。
資金使途は具体的に
「事業拡大のため」では情報がありません。次のように分けて書くと、事業の方向性が伝わります。
- 採用(どの職種を何名程度)
- 開発(どの機能、どのプロダクト)
- マーケティング
- 拠点の開設
これは採用候補者へのメッセージにもなります。
記入例
株式会社サンプル(本社:東京都板橋区、代表取締役:山田太郎)は、シードラウンドにおいて総額5,000万円の資金調達を実施しました。引受先は○○キャピタル株式会社(リード投資家)ほか個人投資家2名です。
■ 調達の概要
・調達額:5,000万円(第三者割当増資)
・ラウンド:シード
・引受先:○○キャピタル株式会社、個人投資家2名
・実施日:2026年9月1日
■ 資金使途
調達した資金は、エンジニア3名の採用、勤怠管理サービスの機能開発、および中小企業向けの認知拡大に充当します。
■ 投資家からのコメント
○○キャピタル株式会社 ○○氏
「(事前に確認を取ったコメントを掲載)」
書けないこともある
次の情報は、開示しないのが一般的です。
- 企業価値(バリュエーション)— 開示しない企業が多数です
- 持株比率
- 個別の契約条件
また、上場企業の場合は適時開示のルールが優先されます。証券取引所の規則に従い、プレスリリースより先に開示が必要な場合があります。
調達だけを目的にしない
資金調達のリリースは注目されますが、それ自体は事業の成果ではありません。記者も読者も、調達後に何をするのかを見ています。
調達の発表と合わせて、次のいずれかを添えると内容に厚みが出ます。
- 直近の事業実績(導入社数、成長率など、出せる範囲で)
- 具体的な事業計画
- 解決しようとしている課題の大きさ(出典つきの市場データ)
発表後の続報
調達後は、採用の開始、新機能のリリース、拠点の開設など、資金使途に沿った続報を出していくと一貫性が伝わります。Zero Press は配信料0円・回数無制限なので、こうした続報を費用を気にせず継続的に出せます。
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