資料と図をつくる時間を減らす。ひな形・作図・共有の組み立て方
提案書を1本作るのに半日かかった。中身を考えた時間より、体裁を整えていた時間のほうが長い。資料づくりで消耗している人は少なくありません。
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提案書を1本作るのに半日かかった。中身を考えた時間より、体裁を整えていた時間のほうが長い。資料づくりで消耗している人は少なくありません。
時間がかかる原因は、たいてい能力ではなく段取りにあります。毎回ゼロから作り、毎回レイアウトを整え直し、前に作った似た資料を探すところから始める。この繰り返しが効いています。
この記事では、資料を作る前に決める3つ、図と文字の分担、作図と共有をどう楽にするか、そしてやり取りの記録の残し方までを整理します。
資料に時間がかかる原因
作業を分解すると、時間を食っているのは3か所です。
ひとつは、白紙から始めることです。表紙の作り方、見出しの位置、文字の大きさ。毎回考え直していると、それだけで数十分が過ぎます。
ふたつ目は、体裁の整え直しです。前の資料から貼り付けたら書式が崩れ、直しているうちに中身の検討が後回しになる。この経験は誰にでもあるはずです。
3つ目は、探す時間です。似た資料をどこに置いたか、最新版はどれか、あの図はどのファイルにあったか。探すこと自体は何も生みません。
つまり、中身を考える時間は減らせなくても、この3つは仕組みで減らせます。型を用意し、置き場所を決める。それだけで作業の入り口が変わります。
どれくらい短縮できるかは、資料の種類と社内の体制によって変わります。他社の数字を目標にするより、いま自分が何にどれだけ時間を使っているかを1週間だけ記録してみるほうが、手を入れる場所が見えてきます。
先に決める3つ
作り始める前に、3つを決めます。ここを飛ばすと、枚数だけが増えていきます。
ひとつ目は、誰に何を決めてほしい資料かです。承認をもらう相手は誰か、その人が判断するために要る情報は何か。読み手が判断できれば、それ以外は削ってよい情報です。
ふたつ目は、枚数の上限です。10枚と決めれば、載せる情報の優先順位を考えます。上限がないと、念のための資料が積み上がります。
3つ目は、使い回すひな形の置き場所です。表紙、目次、本文、比較表、まとめ。よく使う構成をひな形として保存し、全員が同じ場所から取り出せるようにします。
ひな形は作り込みすぎないほうが続きます。配色と文字の大きさ、余白の取り方が揃っていれば十分です。細かい装飾まで規定すると、守るための手間が新たに生まれます。
過去の資料から使い回せる部分も洗い出しておきます。会社概要、実績の一覧、料金の考え方、よくある質問。案件ごとに書き直している内容があるなら、共通の部品として切り出しておくと次から貼るだけで済みます。
そして、資料を出す期限から逆算します。社内の確認に何日、修正に何日。この時間を見込まずに着手すると、内容の検討ではなく体裁の作業が締め切り前に残ります。
文字資料と図の分担
同じ内容でも、文字で書くべきものと図にすべきものがあります。
図が向くのは、手順と関係です。作業の流れ、部署のつながり、システムの構成、時系列。順番や関係を言葉だけで説明すると、読み手は頭の中で図を描き直すことになります。
文字が向くのは、根拠と条件です。なぜその案を選んだのか、どんな前提が付くのか、例外はあるか。こうした内容を無理に図にすると、情報が落ちます。
判断に迷ったら、口頭で説明するときに手を動かして描くかどうかを考えます。描くなら図にする価値があります。
数の比較は表かグラフにします。金額や件数を文章で並べると、読み手が頭の中で並べ替えることになります。逆に、項目が2つか3つしかない比較なら、文章のほうが速く伝わります。
見た目を整える工程は、道具に任せる手もあります。伝えたい内容やキーワードを渡すとスライドの形にしてくれるものがあり、イルシル(AIスライド資料作成ツール)のようにテンプレートが多く用意されたものなら、体裁を整える時間を中身の検討に回せます。生成された案をそのまま出すのではなく、順番と言葉を自分で直す前提で使うと噛み合います。なお、パソコンからしか使えないものもあるので、動作環境は申し込み前に確認してください。

作図をラクにする道具
図を描く道具は、凝った絵が描けるかどうかではなく、あとから直せるかどうかで選びます。
定型の図形がそろっていると早く描けます。四角と矢印、人型、サーバーや端末の記号。よく使う部品が用意されていれば、線を引く作業から始めずに済みます。
共同編集ができると、確認の往復が減ります。同じ画面を見ながら直せば、「ここの矢印を逆に」というやり取りをメールで重ねる必要がありません。コメントを図の上に残せるものもあります。
URLで共有できる形も便利です。ファイルを添付して送ると、受け取った側が古い版を開き続けることになります。同じ場所を見る形にすれば、その事故は起きません。
変更の履歴が残るかも見ておきます。直したあとで元に戻したくなる場面は必ず出てきます。書き出しの形式が複数あるものなら、他の資料に貼り込むときにも困りません。
装飾に凝った図は、直すのが億劫になります。中身が変わる前提なら、シンプルな図のほうが長持ちします。
図を作るときは、要素の数を絞ります。1枚に入れる箱は7つ程度まで。それを超えるなら、分けるか、階層を1つ上げます。全部を1枚に詰め込んだ図は、作った本人にしか読めません。
矢印の向きと意味もそろえます。物の流れと情報の流れを同じ線で描くと、読み手が混乱します。凡例を1行添えるだけで、説明の手間が減ります。
資料の置き場所と共有
作った資料をどこに置くかは、作る速さと同じくらい効いてきます。
最新版がどれか分かる置き方にします。ファイル名に日付を入れる、版数を入れる、あるいは最新だけを1か所に置いて過去分は別のフォルダへ移す。方法は何でも構いませんが、社内で統一します。
権限も決めます。誰が見られて、誰が編集できるのか。取引先の情報や見積もりが入った資料は、範囲を絞ります。共有リンクを作るときは、期限を設定できるかも確認します。
外部に渡すときは形式を考えます。編集されたくない資料は、書き出した形で送る。逆に一緒に作り込む資料なら、編集できる形で共有します。
社外の人が閲覧できる状態になっていないかは、定期的に見直します。一度作った共有リンクは、忘れられたまま生き続けることがあります。
担当者が異動や退職をしたときの引き継ぎも決めておきます。個人のアカウントの中だけに資料が残っていると、必要になったときに取り出せません。部署で共有する場所に置くことを原則にします。
やり取りの記録を残す
資料そのものより、資料をめぐるやり取りのほうが散らばりがちです。
決まったことと宿題は、資料とは別に管理します。メールの本文に埋もれていると、誰が何をいつまでにやるのかが追えなくなります。案件ごとに一覧できる場所を1つ決めます。
タスクを管理する道具に寄せると、探す時間が減ります。自由テキストのような国内で長く使われているものは、事務や営業を含めた幅広い職種で使われており、専門知識のない人でも扱いやすい作りになっています。利用人数の扱いはプランによって違うので、料金表を見て選んでください。
記録する内容は絞ります。決定、宿題、保留の3つで足ります。議論の経緯まで残そうとすると、書く手間が増えて続きません。誰が読んでも同じ理解になる短さを目指します。
宿題には、担当と期限を書きます。この2つが欠けたものは、宿題ではなく願望です。期限が動いたら、動かした日と理由も1行だけ残しておくと、あとで経緯を説明できます。
資料の版と、決定の記録がひもづいていると後から追いやすくなります。「この図はどの打ち合わせで決まったか」を数分でたどれる状態が目標です。
作業の一部を外に出す判断もあります。定型の資料づくりを頼む場合の進め方は https://zero-press.net/columns/jimu-gyoumu-gaichu を参考にしてください。

よくある質問
ひな形はどこまで作り込みますか
配色、文字の大きさ、余白、表紙と目次。この程度で足ります。細かく決めるほど守られなくなります。
図は手描きでもよいですか
社内の検討用なら手描きで十分です。清書が要るのは、社外に出すときと、あとで直す予定があるときです。
共同編集は必要ですか
一人で完結する資料なら不要です。複数人で確認や修正が発生するなら、往復の回数が減ります。
古い資料はどうしますか
消さずに別の場所へ移します。ただし、検索したときに最新版と混ざらない置き方にします。
外部に共有するときの注意は
権限と期限を設定し、渡した相手と日付を記録します。共有した状態を放置しない運用にします。
資料作成にどれくらい時間を見込みますか
内容と枚数で変わります。ひな形が整っていれば体裁の時間は減りますが、中身を考える時間は残ります。そこを見込んで日程を組みます。
社内資料も清書が要りますか
判断を仰ぐ資料なら整えます。検討の途中で回すものは、読める程度で構いません。すべてを同じ水準で作る必要はありません。
図の道具は何本も要りますか
1つで足りることがほとんどです。使う人が増えるほど、道具は絞ったほうが引き継ぎやすくなります。
まとめ
資料づくりを軽くする要点は3つです。
型を決めて白紙から始めないこと。手順と関係は図、根拠と条件は文字と分けること。そして、置き場所と記録を1か所に集めること。
道具を入れれば作業が減るわけではありません。減るのは、探す時間と整える時間です。そのぶんを中身の検討に回せるかどうかで、資料の質は変わります。
文章の下書きに生成の道具を使う場合は https://zero-press.net/columns/ai-writing-tsukaikata も合わせて読んでみてください。








