会社をつくるときの手続き。個人事業のままとの分かれ目
個人事業として続けてきたが、取引先から法人でないと契約できないと言われた。あるいは、これから始める事業を最初から会社の形にしたい。そのとき、まず何を決めればいいのかが分かりません。
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個人事業として続けてきたが、取引先から法人でないと契約できないと言われた。あるいは、これから始める事業を最初から会社の形にしたい。そのとき、まず何を決めればいいのかが分かりません。
会社をつくる手続きは、順番が決まっています。決めることを先に固めてしまえば、書類の作成そのものは思ったより短時間で終わります。むしろ時間がかかるのは、決めるまでの部分です。
この記事では、法人にするかどうかの判断材料、設立までに決める項目、手続きの流れ、そして設立後にすぐ必要になるものを整理します。
個人事業のままか、法人にするか
判断の材料は、金額だけではありません。
まず、取引先の条件です。法人としか契約しない、法人でないと入札に参加できない、といった条件がある業界があります。この場合は、判断というより必要に迫られての選択になります。
次に、社会保険の扱いです。法人になると、代表者一人でも加入の対象になります。保険料の負担は増える一方、将来受け取る年金や保障の内容も変わります。損得は条件によって変わるため、一般化はできません。
3つ目は、経理の手間です。決算の作業は個人事業の確定申告より複雑になり、税理士に頼む費用が発生することが多くなります。
4つ目は、対外的な見え方です。採用や取引の場面で信用の材料になることがあります。ただし、法人だから信用されるという単純な話でもありません。
税負担がどう変わるかは、所得の水準、家族への給与、事業の内容によって変わります。数字の比較は税理士に相談したうえで判断してください。
設立までに決める6つ
書類を作る前に、6つを決めます。ここが固まらないと先に進めません。
商号、つまり会社の名前です。使える文字に決まりがあり、同じ住所で同じ商号は登記できません。将来使う予定のドメインが取れるかも、この段階で調べておくと後が楽です。
事業の目的です。何をする会社なのかを列挙します。将来やる可能性のある事業も入れておけますが、多すぎると分かりにくくなります。許認可が要る事業は、記載の仕方に決まりがあることもあります。
本店の所在地。次の見出しで詳しく触れます。
資本金の額。1円から設立できますが、取引先の与信や許認可の要件で必要額が決まる場合があります。当面の運転資金を目安にする考え方もあります。
役員。代表者だけでも設立できます。任期の設定は定款で決めます。
事業年度。決算の時期です。繁忙期を避ける、設立月から逆算するなど、決め方に幅があります。
この6つは、紙に書き出して声に出して読んでみてください。商号は口頭で伝えたときに聞き取れるか、事業の目的は他人が読んで内容が分かるか。登記した後の変更には手続きと費用がかかるので、ここで時間を使う価値があります。

手続きの流れ
順番は決まっています。
まず、定款を作成します。会社の基本的なルールを定めた文書です。株式会社の場合は、公証役場での認証が必要になります。電子で作成する形なら、印紙代を抑えられる場合があります。
次に、出資金の払い込みです。決めた資本金を、発起人の口座に入金し、その記録を証明として使います。
そして、登記の申請です。法務局に必要書類を提出します。申請した日が会社の設立日になります。書類の不備があると補正が必要になるため、事前の確認が大事です。
登記が完了したら、登記事項証明書と印鑑証明書を取得します。この後の手続きで何度も使うため、複数枚取っておくと足りなくなりません。
一連の作業を代行してもらう形もあります。サービスを導入いただくだけで、設立登記の実費負担が0円!【0円創業くん】のように書類の作成から手続きまでをまとめて扱うサービスもあり、専門家が対応する分、書類の不備で戻される手間が減ります。費用の構成はサービスによって違うため、何が含まれるのかを確認してください。
本店をどこにするか
本店の所在地は、登記されて誰でも見られる情報になります。
自宅を本店にするのは、費用がかからない選択です。ただし賃貸の場合、契約で商業利用や登記が認められていないことがあります。契約書を確認し、必要なら管理会社に相談してください。
事務所を借りる場合は、賃料が固定費として乗ります。人を雇う予定や、来客の有無で必要性が変わります。
住所を公開したくない、あるいは費用を抑えたい場合は、住所を借りる形もあります。登記に使える住所と郵便の転送が月額に含まれるサービスがあり、月額千円に満たない水準のものもあります。
選ぶときは、登記に使えるか、郵便の転送はどうなるか、電話番号を使えるか、来客への対応が要るか。この4点を確認します。金融機関の口座開設や許認可の申請で、実態のある事務所が求められる場合もあるため、事業の内容と照らして判断してください。
設立後にすぐ必要になるもの
登記が終わってからも、期限のある手続きが続きます。
法人の印鑑は、登記の申請時に必要です。実印のほか、銀行印と角印を作るのが一般的です。
銀行の口座は、登記事項証明書などを持って申し込みます。審査に時間がかかることがあるため、入金の予定がある場合は早めに動きます。
税務署への届出もあります。法人設立届出書のほか、給与の支払いに関する届出、選択によっては申告方法に関する書類。提出には期限があるものがあるので、税務署の案内で確認してください。都道府県と市町村にも届出が必要です。
社会保険の手続きも、期限があります。年金事務所への届出になります。
会計の仕組みも早めに整えます。日々の記録を後回しにすると、決算の直前にまとめて処理することになり、費用も時間もかさみます。
名刺や請求書の様式も作り直します。会社名、所在地、登記した情報を反映させたものが必要になります。取引先への案内も、設立の日付と口座の変更を合わせて出すと手戻りが減ります。
個人事業から移行する場合は、契約の切り替えも要ります。取引先との契約、通信や電気の契約、リース。名義が個人のままだと、経費の処理が煩雑になります。
専門家に頼む範囲を決める
すべてを自分でやる必要はありません。
登記の手続きは司法書士、税務は税理士、社会保険や労務は社会保険労務士。扱う分野が分かれています。窓口を1つにまとめてくれるサービスを使う手もあります。
費用と時間の両方で比べます。自分でやれば費用は抑えられますが、調べる時間と、間違えたときのやり直しが発生します。本業の時間を削ってまで自分でやる価値があるかで判断してください。
税理士に依頼するかは、取引の量と自分の得意不得意で決めます。国内最安報酬水準でマイクロ法人を導入するなら菊池会計事務所のように個人事業主向けの相談を受けているところもあり、法人にするかどうかの段階から話を聞ける場合があります。報酬の水準と対応の範囲は事務所によって違うので、複数から見積もりを取ってください。
許認可が必要な事業もあります。飲食、建設、人材紹介、古物の取り扱いなど。設立の前に、所管の窓口で要件を確認しておくと手戻りがありません。
住所を借りる形を使う場合は、事業の内容によって認められないことがある点も覚えておいてください。許認可の要件に事務所の実態が含まれる業種では、別の方法を検討することになります。
よくある質問
設立の費用はいくらかかりますか
登記に必要な費用のほか、定款の認証や印鑑の作成費用がかかります。会社の種類と作成方法で変わるため、法務局や専門家の案内で確認してください。
一人でも会社をつくれますか
代表者一人で設立できます。役員が自分だけの場合の手続きも、通常どおり進められます。
資本金はいくら必要ですか
法律上の下限は低く設定されていますが、許認可や取引先の条件で必要額が決まる場合があります。当面の運転資金から考える方法もあります。
自宅を本店にできますか
持ち家なら可能なことが多く、賃貸は契約次第です。契約書を確認し、必要なら貸主に相談してください。
設立後すぐに役員報酬を決めるべきですか
決め方と変更のタイミングには決まりがあります。設立の直後に検討する項目なので、税理士に相談してください。
個人事業は廃業しますか
事業の内容によって、続ける場合と廃業する場合があります。届出が必要になるため、税務署の案内で確認してください。
社名は後から変えられますか
変更できますが、登記の手続きと費用が発生します。印刷物やドメインの変更も伴うため、最初に決めておくほうが楽です。

まとめ
会社をつくるときの要点は3つです。
法人にするかどうかを、取引条件・社会保険・経理の手間まで含めて判断すること。商号から事業年度までの6つを先に固めること。そして、登記の後に続く届出まで日程に見込んでおくこと。
個人事業として始める場合の届出は https://zero-press.net/columns/kojin-jigyo-kaigyou-todoke に、法人の印鑑の選び方は https://zero-press.net/columns/kaisha-inkan-erabikata にまとめました。設立の前に読んでおくと、準備の抜けが減ります。








