【提言】AIで生み出す時間をどう使うか
【提言】AIで生み出す時間をどう使うか 株式会社三菱総合研究所のプレスリリース
株式会社三菱総合研究所がPR TIMESで配信したプレスリリースの原文を、Zero Press が転載して掲載しています。

株式会社三菱総合研究所(代表取締役 社長執行役員:籔田健二、以下 MRI)は、職業情報提供サイト(job tag)に掲載された433職業・約7,500タスクを23,581件の作業要素へ分解し、AIによる時間創出余地を示す再配分可能時間率(Time Reallocation Rate:TRR)を独自に推定しました。この推定結果をもとに、AI活用を単なる効率化にとどめず、生み出した時間を経営上の価値として実現するための「仕事再設計」の考え方を提示します。
1. 背景
AIの利用は、文章作成や情報検索など、個人の作業効率化から広がってきました。しかし、必ずしも個々の作業効率の向上が組織の成果につながるとは限りません。一方で、AI活用が進む中で、自らの仕事が減るのではないか、これまで仕事を通じて得てきた経験をどう補うか、といった懸念も生じています。こうした効果と懸念の双方を踏まえ、企業がAI活用を組織成果へつなげるには、「AIを導入するか」という問いを、「誰のどの作業で時間を生み、何を人が担い、その時間を何の価値へ振り向けるか」に変える必要があります。
2. 概要
本研究では、AIによる仕事への影響を人員削減効果としてではなく、作業時間を再配分する余地として捉えます。全職業・全タスクを作業要素まで分解してAI機能と対応づけ、時間創出余地を分析するとともに、その結果を企業のAI導入・仕事再設計、人材育成、さらに産官学による実装支援へつなげる考え方を提示します。
(1)人員削減効果ではなく、「どの作業から時間を生み、どう使うか」を問う
AI活用を組織の成果につなげるには、人員削減効果ではなく、「誰のどの作業で時間を生み、何を人が担い、その時間を何の価値へ振り向けるか」を考えることが重要です。本研究では、AIによって生み出せる時間の目安を「再配分可能時間率(TRR)」として捉えます。
そのために、job tagに掲載された職業のうち、タスク情報を持つ全433職業、約7,500タスクを、さらに細かな作業単位である23,581件の作業要素に分解し、国内外864件のAI製品・サービスから整理した70のAI機能と対応づけ、TRRを推定しました。TRRは、「AIを使わない標準的な実施時間」に対し、「選定したAI機能を使う標準的な実施時間」がどの程度短くなり得るかを示す研究指標です。これを用い、時間が生まれる作業、有効なAI機能、AI導入後に人が担う役割までを一体で分析し、具体的なAI導入や仕事再設計に活用します。
図表1 分析方法―「仕事の分解」「技術の分解」「対応づけ・推定」

(2)AI導入の優先領域を、職業・産業・企業まで具体化
AIによる時間創出余地は、職業や産業によって異なります。分析の結果、同じ職業でも時間創出への寄与が一部のタスクに集中する傾向が見られました。職業別ではTRRと就業者数を組み合わせることで、就業者規模と1人当たりの時間創出余地の双方から重点領域を捉えられます。
産業別では、総再配分可能時間は製造業、卸売業・小売業、医療・福祉などで大きい一方、1人当たりでは金融・保険業や情報通信業などが相対的に多くなりました。企業では自社の職種構成を重ねることで、優先的に導入を検討するAI機能を絞り込めます。一方、現場作業などTRRが低い領域では、現場実証を通じて、技術開発・実装で改善すべき部分と、人の関与を残すべき部分とを見極めることが重要です。
図表2 産業別に見た総再配分可能時間と1人当たりの年間再配分可能時間

三菱総合研究所作成
(3)効率化で生まれた余力を、経営価値へ再配分する
AIによって時間を創出すること自体が目的ではありません。重要なのは、新規価値の創出、顧客接点の強化、品質・安全、現場負担の軽減、人材育成など、自社が高めたい価値を定め、そのためにどこから時間を生み出すかを逆算することです。
経営が再配分方針を示し、管理職が部署の業務・役割・KPIへ落とし込みます。同時に、AI導入後も人が確認・判断などを行う機会を設計し、これまで若手が経験を積んできた基礎業務がAIで短縮される場合でも、学習機会を別の形で確保することが求められます。
図表3 AIで生み出す時間を経営価値へ再配分する枠組み

(4)「職の共通言語」で、企業のAI実装を産官学が支える
AI実装の中心となるのは企業です。企業がAIを導入する作業、人とAIの役割、時間の再配分先を決め、業界団体・ベンダーは標準モデルや共同実証、産業行政は技術開発・実装、人材行政は職業情報整備・訓練、教育機関はAI協働人材の育成を支援します。
その接点として、仕事を「職業―タスク―作業要素」で捉えるための共通のものさし、「職の共通言語」を提案します。企業の仕事、AI機能、人が担う役割、必要なスキルを同じ作業単位で整理・対応づけることで、個別企業の試行錯誤を減らし、実証・支援・人材育成を企業の仕事再設計に活用することを目指します。
図表4 「職の共通言語」を接点とする企業主導のAI実装・価値創出

3. 今後の予定
MRIは今後も、人間のタスクを自律的に代行するAIエージェントなどを含む、業務プロセス全体での時間創出の検討を進めるとともに、人手不足などの供給制約下において、必要な機能・サービスを維持するための、人とAIとの役割分担や必要人材の在り方について研究を深めます。
レポート全文
Zero Press のデータで見るこのリリース
- 配信元
- 株式会社三菱総合研究所(Zero Press 掲載 13 本)
- 配信サイト
- PR TIMES
- カテゴリ
- 技術・開発
- 直近 7 日の配信
- 技術・開発 1,755 本 / 全体 13,451 本
Zero Press が取り込んだ配信データから自動集計しています。カテゴリ別・業界別のより詳しい分析は週間動向レポートで毎週公開しています。















