分散量子コンピュータの実業務利用を可能にする次世代分散コンピューティング基盤の共同開発を開始
分散量子コンピュータの実業務利用を可能にする次世代分散コンピューティング基盤の共同開発を開始 株式会社インターネットイニシアティブのプレスリリース
株式会社インターネットイニシアティブがPR TIMESで配信したプレスリリースの原文を、Zero Press が転載して掲載しています。

株式会社ノーチラス・テクノロジーズ(本社:東京都港区、代表取締役会長:神林飛志、代表取締役社長:中澤杉夫、以下「ノーチラス」)、株式会社Quanmatic(本社:東京都新宿区、代表取締役:田中大輔、以下「クオンマティク」)、ギリア株式会社(本社:東京都台東区、代表取締役 社長:齋藤真、以下「ギリア」)、富士通グループでネットワーク事業を担う1FINITY株式会社(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長:森林正彰、以下「1Finity」)、株式会社インターネットイニシアティブ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:谷脇康彦、以下「IIJ」)、学校法人早稲田大学(所在地:東京都新宿区、理事長:本間敬之、以下「早稲田大学」)、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学(所在地:愛知県名古屋市、総長:杉山直、以下「名古屋大学」)は、分散量子コンピュータの実業務適用に向け、量子計算と既存業務システムとの連携を支える次世代分散コンピューティング基盤の共同開発を2026年9月29日より開始しました。
本基盤は、複数の量子コンピュータを連携させる量子クラスターと、次世代高速RDB(リレーショナルデータベース)劔”Tsurugi”(以下、Tsurugi)クラスターを、超低遅延の光ネットワークで接続し、一体的に利用できる環境を実現するものです。これにより、量子コンピュータの処理能力の拡張と、既存業務システムとの連携を両立し、電力資源やAI推論資源の最適化をはじめ、自動車、金融、製造、建設など、多岐にわたる産業分野における様々な最適化問題の解決への貢献を目指します。
なお、本開発は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施するポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(社会課題解決に向けた量子コンピュータ次世代機開発・実証の加速)における「広域ワット・ビット連携(以下、ワット・ビット連携)における AI 推論タスクのリアルタイム組合せ最適化基盤の研究開発」として助成事業の支援を受けて実施するものです。
背景
量子コンピュータは、電力需給の調整や生産計画の策定、金融ポートフォリオの最適化など、複雑な組合せ最適化問題の解決手段として期待されています。一方で、計算規模の制約や既存業務システムとの連携の難しさなどから、実業務での活用は限定的でした。7者はこうした課題の解決に向け、量子計算、データ処理、ネットワーク技術を統合した次世代分散コンピューティング基盤の開発に取り組みます。
開発する技術の特長
高い信頼性が求められる業務への適用を見据え、以下4つの要素技術を統合した次世代分散コンピューティング基盤を開発します。
① 大規模な量子計算を可能にする量子クラスター
複数の量子コンピュータを連携させる分散量子計算技術により、計算規模を数十万量子ビットレベルへ拡大し、大規模な実業務課題の高速な求解を実現します。
② 量子計算と業務システムをつなぐ連携基盤
量子計算と業務データの橋渡しを行い、計算結果を既存システムや現場の業務へ円滑に反映する仕組みを構築します。
③超低遅延データ処理基盤
国産超高速OSS-RDBであるTsurugiを活用し、量子計算に必要なデータの抽出や変換、更新を高速化することで、大規模なデータ処理を支えます。
④リアルタイムな広域データ連携を実現する長距離光ネットワーク
1Finityが開発する光ネットワークインターフェースカード(以下、光NIC)を活用し、量子コンピュータとデータベースを接続する広域ネットワークを構築します。これにより離れたデータセンター間でもリアルタイムなデータ連携を実現します。

各社の役割
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ノーチラス:プロジェクト全体の推進、およびTsurugiを活用した分散データ基盤の開発を担当
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Quanmatic:分散量子計算アルゴリズムの開発および分散量子計算システムの実装を担当
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ギリア:分散量子コンピュータとデータ基盤を接続するシステム連携技術の実装を担当
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1Finity:クラスター内およびクラスター間を接続するネットワーク技術の実装および光NIC機器の提供を担当
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IIJ:IIJの自社データセンター「白井データセンターキャンパス」(千葉県白井市)において、本プロジェクトで利用するサーバ環境の調達・構築・運用を担当
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早稲田大学:分散量子計算アルゴリズムに関する研究開発を担当
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名古屋大学:分散インデックス技術に関する研究開発を担当
今後の展開について
2028年度までに次世代分散コンピューティング基盤の開発を予定しており、2029年度以降、以下のようなユースケースへ活用していきます。
適用ユースケース1:広域ワット・ビット連携における最適化基盤の研究開発
AI推論タスクなどの需要急増や、電力供給・送配電の多様化に対応するため、電力・計算・通信資源を社会全体で最適に配分する広域インフラを構築します。本基盤では、再生可能エネルギーの発電量や電力料金、ネットワーク利用状況、GPU稼働状況などの多様なデータをリアルタイムに統合・分析し、限られた資源を効率的に活用することで社会全体の価値最大化を目指します。なお、本構想には東京電力、中部電力、九州電力が参画・検討を進めているほか、広域ネットワークサービスとの連携も確定しています。2030年頃を目標に、AI推論コストの安定化や電力利用の効率化に貢献する大規模実行基盤のSaaS提供を目指します。
適用ユースケース2:局所的ワット・ビット連携における最適化基盤の研究開発
近年、AI需要の高まりとともに、高価なGPUを効率的に活用することが課題となっています。本基盤では、複数の利用者やサービス間でGPUリソースを動的に割り当てる技術を開発します。利用状況に応じて最適なGPUを選択することで、限られた計算資源を有効活用しながら、AIの性能向上とコスト削減の両立を目指します。また、本技術は前述の広域最適化基盤とも連携し、より効率的な計算資源運用への活用を想定しています。
適用ユースケース3:各業界における量子計算の業務適用拡大
本基盤を活用することで、これまで技術的な制約から量子コンピュータの活用が難しかった分野への適用を進めます。自動車分野ではエネルギーマネジメントの最適化、金融分野ではポートフォリオ運用の最適化、製造分野では生産計画の最適化、建設分野では人員配置や構造設計の最適化などへの活用を検討しています。これにより、従来の計算手法では解決が難しかった複雑な最適化問題に対して、量子計算を活用した新たな解決手段の提供を目指します。
広域ワット・ビット連携における最適化基盤の研究開発の協力企業からのコメント
東京電力ホールディングス株式会社 上席フェロー、東京大学GX戦略推進センター客員教授 岡本浩様
AIの進展によって、社会が必要とする資源は「エネルギー」だけでも「情報」だけでもなく、「エネルギー・情報・演算」の三位一体へと進化しつつあります。
本プロジェクトは、量子コンピューティング、データ基盤、通信ネットワークを融合することで、地理的に分散した資源を、あたかも一つの巨大な知能として機能させようとする先進的な挑戦です。もしこの方向性が発展すれば、個々のコンピュータの性能向上を超えて、国土そのものを分散型の超並列演算空間として活用し、最適化と協調を実現する時代への重要な一歩となる可能性を秘めています。本プロジェクトにおける分散量子コンピューティング基盤の挑戦は、その可能性を探る意欲的な試みであると理解しています。
私はワット・ビット連携を、電力インフラとデジタルインフラの融合にとどまらず、社会全体の知的基盤への進化として捉えています。本取り組みがその可能性を切り拓き、電力・通信・演算資源の統合的な活用を通じて、持続可能で豊かな未来社会の実現につながることを大いに期待しています。
中部電力株式会社 副社長執行役員 グループ経営推進部統括 経営戦略本部長 鍋田和宏様
分散量子コンピューティングの実用化に向けては、計算技術そのものに加え、データ処理やシステム連携を含めた総合的な技術基盤の確立が重要です。産学連携のもと推進される本プロジェクトが、研究開発の成果を社会実装へと結び付けることで、電力システム高度化等の社会課題の解決に加え、新たな産業価値の創出に貢献することを期待しています。
東北電力株式会社 執行役員 DX推進部長 大友洋一様
当社は、GPUクラウドサービスと宮城AIデータセンターにおけるGPUハウジングサービスを通じ、AI開発を支えるインフラを提供しています。AIインフラサービスの競争力強化には、電力・通信・計算資源を一体的に捉え、AI処理を最適な拠点・計算資源へ広域かつリアルタイムに配分する「最適運用」が重要になると考えています。
本プロジェクトの成果を当社AIインフラサービスの高度化につなげ、電力とAIインフラの双方を提供する事業者として、東北・新潟地域におけるワット・ビット連携の社会実装と地域の産業競争力向上につながることを期待しています。
九州電力株式会社 執行役員 情報通信本部長 本田健一様
再エネ導入拡大とAI需要増大が加速する中、電力と計算資源を統合的に最適化するワット・ビット連携は重要な取組みです。Tsurugiや量子クラスターを核とした次世代基盤の開発により、リアルタイムかつ広域での資源配分が実現し、電力系統の効率化と持続可能な社会の発展に大きく寄与することを期待しております。
<ご参考>
こちらの実証実験を解説するセミナーを開催いたしますので、是非ご参加ください。
【セミナー詳細】
タイトル
次世代高速RDB 劔”Tsurugi”×映像通信 セミナー
日時
2026年12月上旬開催予定
場所
東京駅 周辺
主催
株式会社ノーチラス・テクノロジーズ
内容
本プロジェクトに関する概要と解説
登壇者
株式会社ノーチラス・テクノロジーズ 神林飛志 他(決まり次第お知らせいたします)
参加方法
劔”Tsurugi”コミュニティサイト( https://www.tsurugidb.com/ )にてお知らせいたします。
Zero Press のデータで見るこのリリース
- 配信元
- 株式会社インターネットイニシアティブ(Zero Press 掲載 22 本)
- 配信サイト
- PR TIMES
- カテゴリ
- 技術・開発
- 直近 7 日の配信
- 技術・開発 353 本 / 全体 11,102 本
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