PRESS RELEASE 調査・レポート

「公務員の職業生活に関する定量調査」を発表 「公務員であること」に誇りを感じるのは4~5割 社会や地域への貢献を強く意識する一方、その成果や感謝を実感しにくい傾向

「公務員の職業生活に関する定量調査」を発表 「公務員であること」に誇りを感じるのは4~5割 社会や地域への貢献を強く意識する一方、その成果や感謝を実感しにくい傾向 株式会社パーソル総合研究所のプレスリリース

出典: 株式会社パーソル総合研究所

株式会社パーソル総合研究所がPR TIMESで配信したプレスリリースの原文を、Zero Press が転載して掲載しています。

  • #調査レポート

株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都江東区、代表取締役社長:岩田 亮)は、中央官庁および地方自治体で働く公務員を対象に、「公務員の職業生活に関する定量調査」を実施し、結果を発表いたしました。

公務員は、政策・制度の立案や地域課題への対応、市民対応などを通じて、社会や地域を支える重要な役割を担っています。一方、行政課題が高度化・複雑化し、市民からの期待も高まる中、近年では応募者数の減少や若年層を中心とした離職など、人材の確保・定着が課題となっています。

そこで本調査では、公務員の職業生活の実態を捉えるとともに、仕事への誇りや成長実感、社会や地域への貢献実感、ウェルビーイング、キャリアなどを幅広く分析しました。公務員という仕事の魅力や価値、それらを支える要因を明らかにし、公務員が誇りや成長実感を持ちながら働き続けられる職場や組織のあり方について考察しています。

※「バーンアウト型」は、本調査において仕事へのやりがいとストレスの状態から分類した4類型の一つで、仕事にやりがいを感じておらず、ストレスを強く感じている公務員(燃え尽き・その予兆として注視)。

           「公務員であること」に誇りを感じるのは4~5割

   最も高い中央官庁職員でも約5割、基礎自治体(市区町村)職員では約4割にとどまり、

      参考値として示した別調査における教員・看護師の結果※も下回った。

※広域自治体=都道府県、基礎自治体=市区町村。

※当社では、過去に教員・看護師の「職業生活に関する定量調査」を実施しており、その調査結果を参考値として掲載。教員・看護師は、公務員と同様に市民生活の維持・発展に欠かせない職業であり、かつて安定性や社会的意義の高さなどから人気が高かった一方、近年では人材確保・定着が課題となっている。

    
■主なトピックス ※トピックスの詳細については「主なトピックス(詳細)」をご確認ください。

【公務員の魅力】

1.  「公務員であること」に誇りを感じるのは4~5割:中央官庁では約5割、地方自治体では約4~5割

  が「公務員であること」に誇りを感じている。公務員としての誇りには、社会や地域への貢献実感

  がプラスに、努力が報われないという評価不満がマイナスに関連していた。

2.  公務員の「はたらく幸せ実感」は会社員と同水準、「はたらく不幸せ実感」は上回る:公務員の

  「はたらく幸せ実感」※1は会社員平均と概ね同水準だった一方、「はたらく不幸せ実感」※2はす 

  べての所属・職種で会社員平均を上回った。また、「他者貢献」「自己裁量」※3は会社員平均を

  概ね上回る一方、「自己成長」「他者承認」「リフレッシュ」※4などは下回った。

【公務員の魅力を阻害する組織課題】

3.  市区町村の20~30代公務員、4人に1人が「バーンアウト型」:20~30代では、市区町村で仕事へ

  の熱意が低くストレスが高い「バーンアウト型」が26.2%と、4人に1人を占めた。また、全年代

  でみると、「バーンアウト型」の転職意向は41.0%と、「ワーク・エンゲイジメント型」※5の

  20.3%を上回った。

 

4.  市区町村の公務員の半数超がクレーム対応を個人で担う:仕事で「市民」を最も意識する割合は、中央官庁53.1%、広域自治体60.5%、市区町村63.4%だった。また、「直接、感謝の言葉をかけられることが多い」のは市区町村でも20.4%にとどまった。さらに、市区町村ではクレーム対応を個人で担う割合が52.7%と半数を超え、クレーム対応による疲弊を感じる割合は市区町村役場勤務では45.4%だった。

 

5.  公務員を家族や友人に勧めない理由、「ストレスが多い」が上位:中央官庁では、いずれの職種で

  も「ストレスが多い」が上位に挙がり、行政職(政策系)と技術職では「残業や業務量が多い」が

  最多だった。地方自治体でも「ストレスが多い」が上位で、「成果が評価されにくい」「ルールや

  手続きが多く自由度が低い」といった理由も多く挙がった。

6.  公務員の成長実感はすべての所属・職種で会社員を下回る:仕事を通じた成長実感は、すべての所

  属・職種で会社員平均48.6%を下回り、市区町村では行政職33.8%、技術職35.1%だった。ま

  た、部署異動前後の仕事内容に関連性がある職員は成長実感が高く、スキル・知識の深化や組織理

  解にもつながりやすい傾向がみられた。

【公務員の採用・定着】

7.  公務員として働き続けたい気持ちに最も強く関連するのは「長期的なキャリアの見通し」:公務員

  としての継続就業意向には、「長期的なキャリアの見通し」が最も強く関連し、次いで社会や地域

  への貢献実感、自身の役割や仕事の意義を認識できていることが関連していた。また、公務員の職

  業イメージは、年代を問わず「家族・親族」から形成される割合が約4~5割と高かった。

※1、2:「はたらく幸せ実感」「はたらく不幸せ実感」とは、働くことを通じて感じる主観的な幸福感/不幸感をそれぞれ測定した指標。

※3、4:「他者貢献」「自己裁量」「自己成長」「他者承認」「リフレッシュ」は、職業生活における幸福感の多元的な要因を示す「はたらく人の幸せの7因子」を構成する因子。詳細は次ページを参照。

※5:「ワーク・エンゲイジメント型」とは、仕事にやりがいを感じており、ストレスをあまり感じていない公務員。

■はたらく幸せ因子・不幸せ因子

本調査における、はたらくことを通じて感じる幸福感や不幸感の要因は、それぞれ7つの因子で構成され以下のように定義。7つの因子の状態を良好に保つことによって、職業生活ウェルビーイングを高めることができる。

<原著論文>「職業生活における主観的幸福感因子尺度/主観的不幸感因子尺度の開発」(Inoue et al.,日本感情心理学会、2022,12)

    
■主なトピックス(詳細) 

【公務員の魅力】

1.  「公務員であること」に誇りを感じるのは4~5割:中央官庁、広域自治体(都道府県)、基礎自治 

  体(市町村)の職員が公務員としての誇りをどれほど感じているのかを確認した。最も高い中央官

  庁職員でも約5割、基礎自治体職員では約4割にとどまり、参考値として示した教員・看護師の調査

  結果も下回った。公共性の高い職務に従事し、社会や地域への貢献を志向する職員が多いことを踏

  まえると、この結果は必ずしも高いとは言い難い。

公務員としての「誇り」とはたらく幸せ・不幸せ因子※の関係:公務員としての誇りと各因子との関係を確認した。誇りを高める要因としては、所属を問わず「他者貢献」因子が共通して確認された。一方、誇りを損なう要因としては、いずれも「評価不満」因子(自分の努力が報われないという感覚)があがった。公務員としての誇りは、社会や地域への貢献実感によって支えられ、努力が正当に報われないという感覚によって損なわれることが示唆される。

※「はたらく幸せ/不幸せの7因子」の各因子の詳細は上述の一覧参照。

公務員としての誇りを支える要因/損なう要因として確認された「他者貢献」と「評価不満」は、それぞれ何によって獲得し得るのか。 他者貢献は、成果や影響の実感、直接的な感謝などによって高まる。一方、評価不満は、職務担当範囲の不明確さやクレーム対応などによって高まる。 すなわち、公務員としての誇りは、貢献や成果を実感し、自らの成長を感じられる環境によって支えられている。

2.  公務員の「はたらく幸せ実感」は会社員と同水準、「はたらく不幸せ実感」は上回る:働くことを

  通じて主観的な幸福感/不幸感をどれほど感じているかを確認した。公務員の「はたらく幸せ実

  感」は会社員平均※と概ね同水準であった。一方で、「はたらく不幸せ実感」はすべての所属・職

  種で会社員平均を上回った。公務員の職業生活ウェルビーイングを考えるうえでは、幸福感を高め

  るだけでなく、不幸せ要因を低減する視点が重要である。

※会社員平均は、本調査で比較対象として取得した会社員サンプル(n=551)の結果。

公務員と会社員のはたらく幸せ因子※比較:公務員のはたらく幸せ因子を会社員と比較したところ、会社員平均を概ね上回ったのは「他者貢献」と「自己裁量」であった。一方、「リフレッシュ」「チームワーク」「他者承認」は概ね会社員を下回った。「他者貢献」は会社員平均を概ね上回る一方、成果や感謝の手ごたえは得にくく、成長や承認も実感しにくい可能性が示唆される。

※「はたらく幸せ/不幸せの7因子」の各因子の詳細は上述の一覧参照。

【公務員の魅力を阻害する組織課題】

 

■仕事への活性度と心理的ストレスによる4類型分析

 

「ワーク・エンゲイジメント」※と「心理的ストレス反応」の傾向で、公務員を以下の4タイプに分けた。

3.  市区町村の20~30代公務員、4人に1人が「バーンアウト型」:若手職員(20~30代)に着目する

  と、「ワーク・エンゲイジメント型」は、いずれの所属でも約2割にとどまった。 一方、基礎自治

  体ではバーンアウト型が26.2%(4人に1人)と最も高く、疲弊の兆候がみられる。広域自治体は

  相対的に不活性型が多い傾向。

  若手職員では、所属を問わず活力向上が課題となる一方、基礎自治体では特に高ストレス(疲弊リ

  スク)への対応が重要と考えられる。

公務員の継続就業意向・転職意向:公務員の4類型ごとに、継続就業意向と転職意向を確認した。ワーク・エンゲイジメント型は継続就業意向が高く、転職意向が低い一方、バーンアウト型は他と比較して継続就業意向が最も低く、転職意向が最も高い。注目すべきは「ワーカホリック型」である。仕事への活性度が高く、継続就業意向も一定程度ある一方で、転職意向も高い。一見すると仕事への熱意があり定着しているように見えても、高いストレスを抱えていることから、見えにくい流出リスクを抱える可能性がある。

年代別の継続就業意向・転職意向:継続就業意向と転職意向を組み合わせ、年代別に4類型化(潜在流出群、離職切迫群、定着安定群、停滞・無関心群)した。20~30代では、「潜在流出群」が17.1%、「離職切迫群」が15.9%で、両者を合わせると33.0%と約3人に1人を占めた。一方、「定着安定群」は41.7%だった。40〜60代では、「潜在流出群」が11.3%、「離職切迫群」が16.6%、「定着安定群」が50.0%だった。なお、「離職切迫群」の割合は年代間で大きな差はみられなかった。

4.  市区町村の公務員の半数超がクレーム対応を個人で担う

貢献意識と手ごたえ:日々の業務において「一般の国民・住民」をどの程度意識しているのか、またその貢献をどれほど実感できているのか(直接的な感謝)を確認した。基礎自治体職員は最も住民を意識していた一方、「直接、感謝の言葉をかけられることが多い」と答えた割合はいずれも2割前後にとどまった。住民や国民への貢献を強く意識しながらも、その手ごたえを十分に得にくい実態が示唆される。

クレーム対応の負担:組織外(市民等)からのクレーム対応による負担を確認した。クレームへの対応によって心身が疲弊する、あるいは多くの時間を割かれると答えた割合は、所属を問わず一定数みられた。特に基礎自治体の本庁勤務ではその割合が高く、住民との接点の多さが職務上の負荷につながっている可能性がうかがえる。

クレーム対応の実態:クレームへの対応が組織的に行われているか、個人に委ねられているかを確認した。中央官庁・広域自治体では組織的対応が比較的多い一方、基礎自治体では個人対応が52.7%と過半数を占めた。住民対応の最前線にある職員ほど、クレーム対応の負担を個人で抱えやすい実態がうかがえる。

5.  公務員を家族や友人に勧めない理由、「ストレスが多い」が上位:公務員の近親者への推奨意向は一定程度みられる一方、技術職では非推奨も多い。その理由を確認した。中央官庁では、いずれの職種でも「ストレスが多い」が上位に挙がり、行政職(政策系)と技術職では「残業や業務量が多い」が最も多かった。過重な業務負荷やストレスが推奨をためらわせる主要因となっていることがうかがえる。

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