図鑑を子どもに与えるとき。読めない時期の使い方と、増やしていく形
絵本を何冊も読んできた家で、あるとき子どもの興味が急に狭く、深くなることがあります。たとえば虫。散歩のたびに立ち止まり、同じ質問を何度もする。そういう時期に手元にあると役に立つのが図鑑です。
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絵本を何冊も読んできた家で、あるとき子どもの興味が急に狭く、深くなることがあります。たとえば虫。散歩のたびに立ち止まり、同じ質問を何度もする。そういう時期に手元にあると役に立つのが図鑑です。
ただ、図鑑は買うのに勇気が要ります。大きくて、重くて、値段もそれなりにする。しかも一冊選んだ瞬間に分野が決まってしまうので、興味が移ったらどうしようという迷いが生まれます。読める年齢になってからでいい、と先送りにしている家も多いはずです。
この記事では、図鑑を渡す時期の考え方、読めない時期からの使い方、分野の広げ方、造りによる扱いの違い、そして増えたあとの置き場所までを整理します。
絵本の次に何を渡すか迷う
絵本と図鑑では、本としての性格が違います。
絵本には、はじまりと終わりがあります。読み聞かせる側が順番に進めていき、最後まで行けば一冊が終わる。時間の流れが本の中にあります。
図鑑には、その流れがありません。どこから開いてもよく、途中でやめてもよく、同じページを何度見ても構わない。使う側が順番を決める本です。
この違いは、渡し方にも表れます。絵本は大人が読むところから始まりますが、図鑑は子どもが開いたところから始まります。だから「まだ字が読めないから早い」という判断は、必ずしも当てはまりません。
迷いが生まれるもうひとつの理由は、分野の多さです。虫、恐竜、乗り物、宇宙、魚、植物、人体。どれも入口になり得るので、最初の一冊を決めるのが難しい。この迷いの解き方は、あとの節で扱います。
値段も判断を重くします。一冊が絵本の何冊分かになることも多く、外れたときの痛手が大きく感じられます。ただ、図鑑は一度きり読んで終わる本ではありません。何年も開かれることを前提にすると、見え方が変わります。
図鑑は読めなくても使える
字が読めない時期でも、図鑑の使い方はいくつもあります。
いちばん多いのは、眺めることです。ページいっぱいに並んだ写真や絵を、ただ見る。名前が読めなくても、色や形の違いは見えます。
次に、指さすこと。「これ」と指した先の名前を大人が読み上げる。子どもは知っている言葉と、見たものを結びつけていきます。会話のきっかけとして図鑑を使う形です。
そして、見比べること。似ているのに違うものが並んでいると、違いを探し始めます。足の数、羽の形、色の並び。この見比べる動きは、図鑑ならではのものです。
外で見たものを、家に帰って探すという使い方もあります。公園で見つけた虫を、あとからページの中に探す。見つかると、その一冊は自分のものになります。
大人の側の使い方もあります。子どもの質問に答えられないとき、一緒に開いて探す。答えを教える道具としてではなく、調べ方を見せる道具として使えます。分からないことを一緒に調べる時間そのものが残ります。
読めるようになってからも使い方は変わり続けます。名前を確かめるために開き、説明を読むために開き、やがて調べるために開く。長く付き合える本だという点が、絵本との大きな違いです。

分野をどう広げていくか
最初の一冊は、いま向いている一点から選ぶのが確実です。虫を追いかけている時期なら虫、車を並べている時期なら乗り物。網羅性の高い総合的なものから始めるより、狭くて深い一冊の方が食いつきます。
次の一冊は、その隣を選びます。虫の次なら、虫がいる場所としての植物、あるいは同じように小さい生き物としての魚。まったく違う分野へ飛ぶより、つながりが見えるところへ広げる方が自然につながります。
とはいえ、隣がどこなのかは大人にも分かりにくいものです。子どもの興味は大人の分類どおりには動きません。恐竜の次が化石ではなく、地面の下という切り口で鉱物に行くこともあります。
こういうとき、選ぶ工程を人に任せる形があります。毎月届くものを専門の人と相談しながら決める仕組みなら、いまの興味を伝えて次の候補を出してもらえます。おもちゃ・絵本・図鑑が毎月届く購入型のサブスクリプションのようなサービスは、おもちゃと絵本と図鑑をまとめて扱っているので、本だけにこだわらず遊び道具と組み合わせて広げられます。
興味が移ったときに前の一冊が無駄になるかというと、そうでもありません。しばらく置いておくと、別の時期にまた開くことがあります。並べておくこと自体に意味がある本です。
大きさと造りで扱いが変わる
同じ分野でも、造りによって使い道が変わります。
大きくて厚いものは、写真が大きく、載っている数も多い。机で開くのに向いていて、大人が一緒に見るときに読みやすい。ただ、子どもが自分で運ぶには重すぎることがあります。
小さくて薄いものは、持ち歩けます。公園や旅行に持って行き、その場で見比べられる。載っている数は少なくなりますが、外で使う前提なら小さい方が実用的です。
厚紙でできたものや、角が丸く作られたものもあります。小さい子が自分でめくる前提の造りで、破れにくく、なめても大丈夫な塗料が使われているものもあります。
対象の年齢は、製品ごとに表示されています。この表示は読みやすさだけでなく、安全にも関わります。小さな部品がついているものや、飛び出す仕掛けのあるものは、表示された年齢を守ります。
一冊目は家で使う大きめのもの、二冊目に持ち歩ける小さいもの、という揃え方も現実的です。同じ分野で大小を持つと、家と外で使い分けられます。
同じ分野でも、載せ方に違いがあります。写真が中心のもの、絵で描かれたもの、実物大にこだわったもの。写真は見たままに近く、絵は特徴が強調されて分かりやすい。書店で中を開けるなら、そこを見比べて選びます。
毎月届く形と、その都度買う形
図鑑を増やしていく方法には、その都度自分で買う形と、毎月届く形があります。
その都度買う形は、選ぶ楽しみが手元に残ります。書店で子どもと一緒に選べば、選んだこと自体が体験になります。一方で、選ぶ手間と時間がかかり、忙しい時期には後回しになりがちです。
毎月届く形は、選ぶ工程を渡すことになります。専門の人が子どもの様子を聞いて候補を出す仕組みなら、大人が思いつかない分野が入ってくることがあります。届く日が決まっていると、生活の中に読む時間が組み込まれます。
ここで区別しておきたいのが、買う形と借りる形の違いです。おもちゃのサブスクには、一定期間使って戻す仕組みもあります。届いたものが手元に残る仕組みとは、別のものです。手元に残る形なら、気に入ったものを何年も使い続けられますし、書き込んだり付箋を貼ったりもできます。戻す仕組みなら、置き場所が増えません。
どちらが良いかは、家の事情で決まります。置き場所に余裕があり、繰り返し開くものを手元に置きたいなら残る形。次々と新しいものに触れさせたいなら戻す形。定期便の使い分けについては https://zero-press.net/columns/ehon-omocha-teikibin にも書きました。
使わなくなったものを引き取ってもらえる仕組みを持つ店もあります。手元に残る形でも、あとから整理する道が用意されていれば、増えすぎる心配は減ります。
増えたあとの置き場所
図鑑は、増えると場所を取ります。渡す前に、置く場所を決めておきます。
大事なのは高さです。子どもの手が届く場所に置くと、自分で出して自分で戻せます。大人にしか届かない棚に並べると、開くのは大人が出したときだけになります。
見え方も効きます。背表紙だけが並んだ棚より、表紙が見える置き方の方が手に取られます。いま興味がある数冊だけを表紙が見える形にして、残りは背表紙で並べるという分け方が使えます。
傷むことも前提にします。大きな本は角から傷み、めくられるページは決まって同じところです。テープで直せる範囲は直し、直せなくなったら次を考えます。きれいに保つことより、開かれることを優先します。
おもちゃと同じ場所にまとめるかどうかも、家によって変わります。遊びの延長で開くなら近くにあった方がよく、落ち着いて見るなら分けた方がよい。知育玩具そのものの選び方は https://zero-press.net/columns/chiiku-omocha-erabikata にまとめてあります。

よくある質問
何歳から使えますか。製品ごとに表示された年齢が目安です。字が読めない時期でも、眺める、指さすといった使い方はできます。
どの分野から始めるといいですか。いま子どもが向いている一点から選ぶのが確実です。総合的なものは、分野が決まってからでも遅くありません。
電子版でもいいですか。持ち歩きや検索には向きます。一方で、ページを行き来する動きや、大きな写真を眺める体験は紙の方が得やすい面があります。
おもちゃと併用できますか。同じ題材のおもちゃと組み合わせると、遊びと結びつきます。まとめて扱っているサービスなら、その組み合わせも相談できます。
重いものは扱いにくくないですか。家で大人と一緒に見る前提なら問題になりにくいものです。持ち歩く用途には、小さくて軽いものを別に用意します。
どこまで揃えればいいですか。決まった冊数はありません。開かれている冊数が、いまの家に合っている数だと考えて構いません。
まとめ
図鑑は、字が読めるようになってから渡すものではありません。眺める、指さす、見比べるという使い方が、読む前から成り立ちます。
分野は、いま向いている一点から始めて、隣へ広げます。次に何を渡すか迷ったら、選ぶ工程を人に任せる形もあります。
そして、増やす前に置き場所を決めます。手の届く高さに、表紙が見える形で。開かれることを優先して置けば、その一冊は長く使われます。








