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チームでAIを使えるようにする。研修を頼む前に社内で決めること

生成AIを業務に取り入れよう、という方針は多くの会社で出ています。ところが実際に使われているかというと、一部の人が個人的に触っているだけ、という状態で止まっていることが少なくありません。

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生成AIを業務に取り入れよう、という方針は多くの会社で出ています。ところが実際に使われているかというと、一部の人が個人的に触っているだけ、という状態で止まっていることが少なくありません。

止まっている理由は、たいてい道具の問題ではありません。誰が何に使うのかが決まっていない、社外に出してよい情報の線が引かれていない、使ってみて分からなくなったときに聞く先がない。この三つが揃っていないと、道具を配っても定着しません。

外部の研修を頼むという選択肢はあります。ただ、頼む前に社内で決めておくことがあり、そこを飛ばすと、研修そのものは受けたのに現場が変わらないという結果になりがちです。この記事では、決めておくことと、形式ごとの違い、そして依頼先に何を聞くかを整理します。

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導入が進まないのは、道具より先の話でつまずいている

「使っていい」と言われても、多くの人は動きません。悪意でも怠慢でもなく、判断できる材料がないからです。

自分の仕事のどこに使えるのか分からない。使っていい情報の範囲が分からない。間違った答えが返ってきたときにどう扱えばいいか分からない。誰に聞けばいいか分からない。この状態で「各自で試してみて」と言われても、リスクを取ってまで試す人は多くありません。

白いテーブルとホワイトボードのある会議室

一方で、一部の人は勝手に使い始めます。手元の仕事が楽になるからです。ここで起きるのが、把握できていない利用が広がる状態です。どの部署の誰が、どの道具に、何を入力しているのかを会社が知らない。禁止していないから止められないし、ルールがないから注意もできません。

進んでいないように見える会社と、把握できないまま広がっている会社は、実は同じ問題を抱えています。決めていない、ということです。研修を検討するなら、まずここを埋める作業から始まります。

対象を分けて考える

「全社員にAI研修を」という形で企画すると、内容が散漫になりがちです。仕事の種類によって、必要なものが違うからです。

大きく分けると二つです。ものを作る仕事に使う人と、日々の事務や資料の作成に使う人。前者は、作る過程そのものに道具を組み込む話になります。書いたものを検証する、生成された内容の妥当性を判断する、既存の作りかけのものに合わせる。後者は、文章や表の扱いが中心で、下書きを作る、要約する、形式を整える、といった使い方が主になります。

必要な前提知識も違えば、注意すべき点も違います。同じ内容を全員に一斉にやると、片方には難しすぎ、もう片方には物足りない、ということが起きます。

もう一つ、決める側の人も対象に入れるかどうかを考えます。現場が使えるようになっても、ルールを決める立場の人が中身を知らなければ、判断が止まります。決裁する人が一度は手を動かしておくと、その後の話が早くなります。

対象を分けたら、それぞれに何ができるようになってほしいのかを一文で書いてみてください。書けなければ、まだ企画としては早い段階にあります。

扱ってよい情報の範囲を先に決める

研修を頼む前に、社内で決めておく必要があるのがここです。外部に決めてもらうことではありません。

決めるのは三つです。入力してはいけない情報は何か。入力した内容がどう扱われるのか。社外とのやり取りにどう使うか。

一つめは、自社の規程に沿って線を引く作業です。顧客の情報、取引先との契約に関わる内容、まだ公開していない計画、個人に関する情報。すでに情報の取り扱いに関する規程があるなら、その延長で考えられます。ゼロから作る必要はありません。

二つめは、使う道具ごとに条件が違う部分です。入力した内容が保存されるのか、学習に使われるのか、どこの国のサーバーで処理されるのか。契約の形態によっても変わります。ここは各社の規約と契約内容を読んで確認するしかなく、一般論では決められません。

三つめは、生成したものを社外に出す場合の扱いです。提案書、見積もりの説明、公開する文章。どこまで人が確認してから出すのか、誰が最終的に責任を持つのか。ここを決めておかないと、現場は使うこと自体をためらいます。

この三つが決まっていれば、研修の内容も具体的にできます。決まっていないまま頼むと、一般的な注意事項の説明で時間が使われ、自社で何をしていいのかは分からないままになります。

研修の形式で得られるものが違う

外部に頼む場合、形式によって持ち帰れるものが変わります。

説明を聞く形式は、全体像をそろえるのに向いています。何ができて何ができないのか、どういう仕組みで動いているのか、どこに注意すべきか。人数を集めやすく、時間も短く済みます。ただし、聞いただけでは自分の仕事に結びつきません。

手を動かす形式は、実際に自分の業務に近い題材を使って作業します。時間はかかり、人数も絞られますが、終わったあとに「自分の仕事のこの部分に使える」という感触が残ります。定着という点ではこちらのほうが確実です。

多くの場合、組み合わせになります。全体に説明の場を用意して前提をそろえ、実際に使う部署には手を動かす場を用意する。予算と人数の制約の中で、どこに手を動かす時間を配分するかが企画の中心になります。

オンラインで実施するか集まるかも、形式によって向き不向きがあります。説明を聞くだけならオンラインで足りますが、手を動かす形式は、その場で質問できる環境があるかどうかで結果が変わります。

研修を「知識を得る場」で終わらせず、決めごとを作る場として使うという考え方もあります。

ルールを作るとき、禁止事項の一覧を配るやり方は定着しません。書かれていないケースが必ず出てきますし、現場は判断できずに止まります。必要なのは、判断できる基準です。

たとえば、この種類の情報は入れない、この工程は必ず人が確認する、この用途は所属長の判断を経る、といった形です。一覧ではなく、考え方の軸を示す。軸があれば、書かれていない状況でも現場で判断できます。

研修の中でこの作業を扱ってもらうという頼み方はできます。実際に使ってみた直後のほうが、現実的な線を引けるからです。使ったことのない人だけで会議室で決めたルールは、たいてい厳しすぎるか、緩すぎるかのどちらかになります。

ルールは一度決めて終わりにせず、見直す時期を決めておきます。道具の側の条件も変わりますし、使い方も変わります。

ノートとノートパソコン
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費用と、制度を使う場合の考え方

費用は、一人あたりの金額と人数で決まる形が一般的です。まず、対象を何人にするのかを決めてから見積もりを取ってください。全員か、部署単位か、まず一部署で試すのか。

公的な支援の制度を使える場合があります。ただし、ここで気をつけたいのは、申請するのは受講する会社自身だということです。研修を提供する側が代わりに申請してくれるわけではありません。

そして、対象になるかどうか、いくら支援されるかは制度の側で決まり、年度によって変わります。申請の手続きにも要件があり、必要な書類や提出の時期が定められています。だから、支援を受けられる前提で予算を組まないでください。

判断の基準は単純です。制度が使えなかった場合の金額でも、この研修を実施する価値があるか。ここで「ある」と言えるなら進められますし、「制度が使えるなら」という条件付きでしか成立しないなら、規模を見直すほうが安全です。制度の内容は、所管の窓口や公式の案内で確認してください。社会保険労務士に相談するという方法もあります。

依頼先に聞くこと

見積もりを取る段階で確認しておきたいことがあります。

対象者の前提です。どの程度の知識を持っている人を想定した内容なのか。未経験の部署に向けた内容にできるのか、それとも一定の前提を求めるのか。ここがずれると、当日に置いていかれる人が出ます。

当日の進め方も聞きます。説明の時間と手を動かす時間の配分、使う題材を自社の業務に寄せられるか、人数の上限はいくつか。自社の題材を使えるかどうかは、持ち帰れるものの量に直結します。

教材の扱いも確認します。当日の資料を後から社内で参照できるのか、参加していない人にも共有できるのか。共有できるなら、研修そのものが社内の資料になります。

そして、終わったあとです。分からないことが出てきたときに聞ける窓口があるのか、期間はどのくらいか、追加の費用がかかるのか。使い始めてから疑問が出るのが普通なので、この部分の有無で定着の度合いが変わります。

相談の段階で費用がかからない窓口もあります。たとえば法人向けのAI研修について無料で相談できる窓口のように、まず話を聞いて、自社に合う形があるかどうかを確かめるところから始められます。その場合も、対象と目的を先に整理してから臨むほうが、返ってくる提案は具体的になります。

よくある質問

何人から頼めますか。提供する側によって条件が違います。少人数向けの形を用意しているところもあれば、一定の人数を前提にしているところもあります。見積もりの段階で確認してください。

オンラインでもできますか。形式によります。説明を聞く形はオンラインでも成立しますが、手を動かす形はその場で質問できる環境があるかどうかで結果が変わります。どちらの形式を求めているかを先に決めてから相談してください。

未経験の部署でも受けられますか。対象者の前提をどこに置いた内容なのかによります。依頼先に、どの程度の知識を想定しているかを聞いてください。前提がずれると当日に困ります。

効果はどう測ればいいですか。研修の直後に測れるものは限られます。何ができるようになってほしいのかを事前に一文で書いておき、数か月後にその状態になっているかを見る、という形が現実的です。

ルールだけ作ってもらうことはできますか。対応の範囲は依頼先によって違います。研修の中で扱ってもらう形にできる場合もあるので、相談の段階で希望を伝えてください。

継続的に頼めますか。一度で終わる形と、期間を置いて複数回に分ける形があります。定着を重視するなら、間隔を空けて実際の業務での使用状況を見ながら進めるほうが向いています。

まとめ

外部の研修は、社内で決めることを決めてから頼むと結果が変わります。三つに整理できます。

対象を分けます。ものを作る仕事に使う人と、事務や資料の作成に使う人では、必要な内容が違います。決裁する立場の人を含めるかどうかも決めておきます。それぞれに何ができるようになってほしいのかを、一文で書けるところまで整理してください。

情報の範囲を先に決めます。入力してはいけない情報、使う道具ごとの扱い、社外に出すときの確認の手順。これは外部に決めてもらうことではなく、自社の規程と、利用する製品の規約や契約内容から自分たちで決めることです。

持ち帰るものを決めてから頼みます。全体像をそろえたいのか、手を動かせるようにしたいのか、社内の基準を作りたいのか。目的が決まっていれば、形式も人数も費用も逆算できます。公的な制度を使う場合も、申請は自社で行うものであり、制度が使えなかった場合の金額で判断してください。

個人が仕事にAIを使えるようになるまでの学び方は https://zero-press.net/columns/ai-shigoto-manabu-kouza に、社内の仕事を外に出すときの考え方は https://zero-press.net/columns/saiyou-gyoumu-soto-ni-dasu にまとめています。

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