役員の86%が「十分な準備機会がないまま」就任、幅広い領域で知見強化を求める実態 グロービス、役員290名を対象とした「役員育成に関する実態調査」を発表
役員の86%が「十分な準備機会がないまま」就任、幅広い領域で知見強化を求める実態 グロービス、役員290名を対象とした「役員育成に関する実態調査」を発表 株式会社グロービスのプレスリリース
株式会社グロービスがPR TIMESで配信したプレスリリースの原文を、Zero Press が転載して掲載しています。

株式会社グロービス(東京都千代田区、代表取締役:堀義人)は、国内企業の役員290名を対象に「役員育成に関する実態調査」を実施しました。
本調査により、役員の約86%が、体系的で十分な準備機会がないまま役員に就任していることが明らかになりました。また、役員が今後、知見を強化したい領域は複数にわたる一方、約61%が「スケジュール確保(多忙)」を学びの障壁として挙げており、継続的な学びを支える仕組みの必要性がうかがえます。
グロービスは本調査結果を通じて、役員育成を経営の課題として捉え、企業の経営チーム強化と日本企業の持続的な成長に向けた取り組みを推進してまいります。

■調査実施の背景
コーポレートガバナンス改革の進展に伴い、上場企業には取締役会の実効性向上が求められています。また、DX・AIの戦略活用や組織変革、次世代リーダーの育成など、役員が向き合う経営課題も複雑化しています。
一方で、日本企業では「優秀な人材が役員になれば、自ら学び成長していく」という前提が根強く、マネジャー層に比べて役員層の育成機会は十分に整備されていないと指摘されています。役員に求められる役割が高度化する中、役員が管掌を越えて全社視点で経営に関与し、複雑化する経営課題に向き合うために必要な知見・学びを支える仕組みが必要となっています。
そこでグロービスは、役員に必要な就任前後の準備・知見・学びの実態と課題を把握し、実効性のある役員育成のあり方を検討するため、本調査を実施しました。
■調査サマリ
1.役員の約86%が「十分な準備機会がないまま」就任
役員就任時に「体系的で十分」な準備機会があったと回答した役員は約14%。一方、約86%が「一定あったが不十分」「独学・手探り」と回答しました。
2.難易度が高い経営課題の最多回答は「次世代リーダー育成・組織文化変革」、役員自身も育成の知見を求めている
難易度の高い経営課題として最も多く選択されたのは「次世代リーダー育成・組織文化変革(約68%)」。同項目を選択した役員の約76%が、今後「組織変革・次世代育成」の知見を強化したいと回答しました。
3.約64%の役員が、管掌を越えた全社テーマへの関与に課題
役員の約64%が、管掌外の全社テーマへの関与について、「一部テーマに不安がある」「関与できていない」と回答しました。自身の管掌外の全社テーマに「積極的に関与できている」と回答した執行役員は約18%にとどまりました。一方、取締役では約52%が「積極的に関与できている」と回答しており、管掌外のテーマへの関与度について、執行役員と取締役の間で大きな差が見られました。
4.役員は複数の領域で知見強化を求める一方、学びの時間確保に課題
役員は今後知見を強化したい領域について、1人あたり平均3.2領域を選択しており複数の領域で知見を高めたいニーズがあることが明らかになりました。一方、約61%が「スケジュール確保(多忙)」を学びの障壁として挙げました。
5.社外取締役経験者の約87%が、経営陣のスキル不足が議論の質や、意思決定のスピードに影響すると回答
社外取締役経験者の約87%が、経営陣のスキル不足が取締役会などの議論の質や意思決定スピードに影響すると回答しました。
■調査結果詳細
1.役員の約86%が「十分な準備機会がないまま」就任
役員就任時の準備機会について、「独学・手探り(42.1%)」、「一定あったが不十分(43.8%)」と回答した役員は合わせて85.9%にのぼり、約86%が十分な準備機会を得ないまま就任している実態が明らかになりました(図1)。「体系的で十分」な準備機会があったと回答した役員は14.1%にとどまりました。
(図1)

また、企業規模を問わず、「体系的で十分」と回答した割合はいずれも15%以下でした(図2)。さらに、就任1年未満の役員においても約71%が準備不足を感じていました(図3)。
これらの結果から役員就任時の準備については、企業規模や就任からの期間にかかわらず、十分な機会が提供されていないケースがあることがうかがえます。
(図2)

(図3)

2.難易度が高い経営課題の最多回答は「次世代リーダー育成・組織文化変革」、役員自身も育成の知見を求めている
役員が「難易度が高い」と感じている経営課題として、「次世代リーダー育成・組織文化変革(68.3%)」が最多となりました。続いて、「既存事業の再定義・収益改善(56.2%)」「デジタル・AIによるビジネスモデル変革(56.2%)」「新規事業の創出・多角化(55.5%)」がいずれも55%を超える回答となりました(図4)。
(図4)

難易度の高い経営課題として「次世代リーダー育成・組織文化変革」を選択した役員(N=198)に、今後知見を強化したい領域を尋ねたところ、「組織変革・次世代育成」が約76%と最も高い結果となりました(図5)。
一方、役員全体に今後知見を強化したい領域を尋ねたところ、「DX・AIの戦略活用(64.8%)」が最も高く、次いで「組織変革・次世代育成(63.4%)」となりました(図6)。
経営課題が複雑化する中、役員層では、課題を認識するだけでなく、その対応に必要な知見を自ら強化していく必要性が高まっていることがうかがえます。
(図5)

(図6)

3.約64%の役員が、管掌を越えた全社テーマへの関与に課題
自身の管掌領域以外の経営テーマが議論される際の関与について、「一部テーマに不安がある(45.2%)」、「関与できていない(18.9%)」と回答した役員は合わせて約64%にのぼり、管掌を越えた全社テーマへの関与に何らかの課題を感じている役員が多いことがわかりました(図7)。
(図7)

役職別に見ると、「積極的に関与できている」と回答した割合は、取締役では約52%だったのに対し、執行役員では約18%にとどまりました。執行役員では「一部テーマに不安がある(51%)」、「関与できていない(31%)」と回答した割合が取締役より高く、執行役員のほうが、管掌外の全社テーマへの関与に課題を感じていることがわかりました(図8)。
管掌領域以外の経営テーマの議論に関与する際の障壁として、「該当領域に関する体系的な専門知識の不足(39.7%)」が最も多く、次いで「該当領域に関する最新トレンド・技術知見の不足(27.9%)」、「他の担当役員への遠慮や、役割分担の意識(26.9%)」、「全社俯瞰で議論するための経営視点・思考法の不足(19.0%)」が挙げられました(図9)。
これらの結果から、役員育成は個々の役員の知識やスキルを高めるだけでなく、管掌を越えて全社課題を捉え、経営チームとして議論・意思決定する力を高める視点が重要であることが示唆されます。
(図8)

(図9)

4.役員が知見を強化したいテーマは複数にわたる一方、時間確保が課題
「今後知見を強化したい領域」を聞いたところ、選択肢として用意した「該当なし」を選んだ役員は0名でした。全回答者が、今後知見を強化したい領域を1つ以上選択し、その数は1人あたり平均3.2領域でした。役員が幅広いテーマで知見をアップデートする必要性を感じていることがわかりました(図10)。
(図10)

一方、学びの時間を確保するうえでの障壁として最も多く挙げられたのは「スケジュール確保(多忙)(61.0%)」でした(図11)。また、これまでの経験から自身の成長に最も寄与した学習手法としては「他流試合(58.3%)」(図12)が、意欲的に参加したいと思う学習形態としては「短時間・高頻度(月1回2時間)(48.3%)」が、それぞれ最も高い割合となりました(図13)。
役員が知見を強化したいテーマは複数にわたる一方、学習機会への参加には時間の確保が課題となっています。こうしたニーズに応えるには、多忙な役員が参加しやすく、継続しやすい学習機会の設計が重要だと考えられます。
(図11)

(図12)

(図13)

5.社外取締役経験者の約87%が、経営陣のスキル不足が議論の質や、意思決定のスピードに影響すると回答
社外取締役経験者(N=61)の約87%が、「経営陣のスキル不足は、取締役会での議論の質や意思決定スピードに影響する」と回答しました(図14)。
(図14)

また、社外取締役経験者が、経営陣(執行側)についてさらなる知見のアップデートやスキルの強化が必要だと感じた領域としては、「ガバナンス・資本効率経営(49.2%)」が最多となりました(図15)。
さらに、社外取締役経験者が、取締役会の監督機能の実効性を高めるために会社側に望む支援・情報提供としては、「現場視察・キーマンとの対話(52.5%)」が最多となりました(図16)。
役員育成は個々の役員の能力開発にとどまらず、取締役会や経営チーム全体の実効性にも関わるテーマであることが示唆されます。
(図15)

(図16)

本調査から、役員育成には、就任前後の準備、複雑化する経営課題に対応するための知見、管掌を越えて全社視点で経営に関与する機会、そして継続的に学ぶための時間や仕組みが必要であることが示唆されます。また、役員は今後知見を強化したい領域を複数持つ一方で、多忙による時間確保が学びの障壁となっていることも明らかになりました。
■役員育成に必要な4つの設計要素
今回の調査結果を踏まえると、就任前後の準備から、継続的な学び、管掌を越えた議論の場まで役員育成を一貫して設計し、経営チーム全体の力を高めていくことが重要だと考えられます。
グロービスでは、これまでも役員・次世代経営層向けプログラム「知命社中」などを通じて、経営に必要な知と視座を磨き、経営チームの変革を支援してきました。知命社中は2026年3月に第10期を修了し、これまでに累計270名、70社の企業から経営人材が参加しています。
今後も、こうした実践で培った知見をもとに、企業の経営課題を起点として、以下の4つの設計要素を軸に、企業ごとの課題に応じたエグゼクティブ向け支援を行ってまいります。プロジェクトの設計・実行から振り返りまで一貫して伴走し、体系的な経営知と実践的なファシリテーションを組み合わせながら、経営チームの変革や次代を担う経営人材の育成を支援してまいります。
詳細はこちらをご覧ください。
(https://gce.globis.co.jp/create-the-future-and-the-organization/our-approach/)
(1)就任前後のオンボーディング
役員としての役割を担うために必要な知識・スキルを、就任前後から体系的に身につける機会を提供します。
(2)自社の「育成の設計図」をもつ
サクセッションプランや育成体系を整備し、次世代の経営人材を継続的に育成する仕組みづくりを支援します。
(3)管掌を越えた全社視点の対話
役員が自社の経営課題について管掌を越えて議論し、経営チームとしての視座を高める場を提供します。
(4)継続学習を支える仕組みと文化
役員が多忙な中でも継続的に学び、学びを経営に活かせる仕組みを整備します。

■本調査レポートのご案内
本調査結果をまとめたレポートは、以下からダウンロード可能です。
https://pages.globis.co.jp/gce_wp_1142.html
※ダウンロードには、お名前・メールアドレス等のご入力が必要です。
■調査概要
調査名:「役員育成に関する実態調査」
調査期間:2026年5月
調査方法:Webアンケート(当社と接点のある企業の役員層に配信)
調査対象:国内企業の役員層(取締役・執行役員等)※うち社外取締役経験者を含む
有効回答:290名(うち社外取締役経験者61名)
Zero Press のデータで見るこのリリース
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