市場環境の変化を捉え、新たな事業機会の発見を支援する「オポチュニティーシーキング技術」を開発
市場環境の変化を捉え、新たな事業機会の発見を支援する「オポチュニティーシーキング技術」を開発 株式会社 日立製作所のプレスリリース
株式会社 日立製作所がPR TIMESで配信したプレスリリースの原文を、Zero Press が転載して掲載しています。

日立は、脱炭素政策の強化や地政学リスクの高まりなどによる市場環境の急速な変化を的確に捉え、提案先候補の抽出や事業機会の発見を支援する「オポチュニティーシーキング技術」を開発しました。本技術は、気候変動関連法規などのマクロ情報と設備の仕様や運用条件などのミクロ情報を組み合わせて分析するAIエージェント技術です。今回、Climate Change Laws of the World Dataset*1から抽出した法規制データと、Global Coal Plant Tracker*2の発電所データを用い、東南アジアの石炭火力発電所を対象に、コージェネレーションシステム*3の提案先候補を抽出できることを初期検証で確認しました。これにより、営業や新規事業開発の担当者における複雑な法規制と設備条件を横断して確認する負担を減らし、コージェネレーションシステムをはじめとするGX*4や設備更新の必要性が高い候補を根拠とともに把握しやすくなり、新たな事業機会の発見を支援します。
今後、日立は本技術の高度化を進め、エネルギー分野に加え、モビリティや産業分野など、法規制や市場環境の変化の影響が大きい領域への展開をめざし、グローバル市場のレジリエンス強化と企業の持続的な事業成長に貢献していきます。
*1 Climate Change Laws of the World Dataset: https://climate-laws.org/
*2 Global Coal Plant Tracker: https://globalenergymonitor.org/projects/global-coal-plant-tracker
*3 コージェネレーションシステム: 1つの燃料から電力と熱を同時に生み出して供給するシステム。
*4 GX: Green Transformationの略。温室効果ガスの排出削減と経済成長の両立をめざし、エネルギーや産業構造を脱炭素型へ転換する取り組み。
背景および課題
近年、脱炭素政策の強化、地政学リスクの高まりなどにより、企業には市場環境の変化に対応しながら、成長機会を見極めることが求められています。特にエネルギー・産業分野では、環境規制の強化に伴い、既存設備の更新や温室効果ガス排出削減への対応が重要になっています。一方で、提案活動に必要な情報は、国や地域ごとに異なる法規制、設備ごとの仕様、運用条件など多岐にわたり、どの設備が規制対応や更新提案の対象になり得るかを見極めるには、多くの文書やデータを横断して確認する必要がありました。そのため、提案先の選定に時間を要し、見落としなく候補を絞り込むことが難しい状況でした。また、AIを用いた提案作業の自動化も進められていますが、AIの出力結果の根拠が見えにくく、透明性の確保が難しいことが課題となっていました。
課題を解決するために開発した技術の特長
そこで日立は、複雑な各国の法規制と設備条件を結び付けて横断的に分析することで、新たな事業機会の発見を支援するAIエージェントとして「オポチュニティーシーキング技術」を開発しました。本技術は、これまで市場やサプライチェーンの強靭化に向けてデータ観測に基づく社会リスク把握と予兆発見に取り組んできたデジタルオブザーバトリ*5を拡張し、対象範囲を持続可能な事業成長へと広げるものです。技術の特長は以下の通りです。
*5 自然災害やパンデミックに対して製造業サプライチェーンを強靭化する技術を開発:日立
1. 調査時間の削減を実現する法規制情報の抽出・構造化技術
情報抽出エージェントが、気候変動関連法規などの文書群から、設備の更新や改修に関わる記述を抽出し、AIで扱いやすい構造化データに整理します。これにより、営業や新規事業開発の担当者における膨大で複雑な法律文書を手作業で確認する負担を減らし、提案活動に必要な情報を効率的に把握しやすくなります。
2. マクロ情報とミクロ情報のギャップを埋めるデータ連携技術
機会分析エージェントが、情報抽出エージェントにより抽出された法規制などのマクロ情報を、発電所ごとの設備特性や運用条件といったミクロ情報に対応付け、提案先候補を抽出・スコアリングします。これにより、従来は別々に確認する必要があった市場環境の変化と設備条件を結び付けて評価しやすくなり、GXや設備更新の需要が高まる未開拓の提案先を見つけやすくなります。
3. 信頼性のある意思決定を支える説明可能なレポート生成技術
レポートエージェントが、候補ごとの評価結果に加え、判断の根拠となった法規制の記述や設備条件を対応付けて提示します。これにより、AIの出力結果をブラックボックスとして受け取るのではなく、どの法規制や設備条件に基づいて候補が抽出されたのかを確認しながら、根拠を持って意思決定を進めやすくします。

確認した効果
今回、東南アジアの石炭火力発電所を対象とした初期検証では、気候変動関連法規と発電所データを組み合わせて分析し、規制圧力と設備特性を踏まえたコージェネレーションシステムの提案先候補を抽出できることを確認しました。
今後の展望
今後、日立は法規制に加えて気候データやニュースデータ、ドメイン特化データ*6など分析対象を拡充し、市場環境の変化をより多面的に捉えられるよう本技術を高度化していきます。さらに、Lumada 3.0を支えるドメインナレッジで強化されたAI技術の一つとして、エネルギー分野に加え、モビリティや産業分野など、法規制や外部環境の変化の影響が大きい領域への展開をめざし、グローバル市場のレジリエンス強化と企業の持続的な事業成長に貢献していきます。
なお、本成果の一部は2026年10月21日~23日にイタリアで開催される24th International Conference on Practical Applications of Agents and Multi-Agent Systems (PAAMS 2026)で発表予定です。
*6 ドメイン特化データ: 医療・金融・法律などの対象となる特定業界や専門分野に特化した、高精度なテキストや言語資料。
関連情報
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株式会社日立製作所 研究開発グループ
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- 株式会社 日立製作所(Zero Press 掲載 56 本)
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- 技術・開発
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