PMSなどの月経前疾患に対するエクオールの有効性を厳密な試験で検証 重症例で改善の可能性を示唆し、今後の研究に新たな知見
PMSなどの月経前疾患に対するエクオールの有効性を厳密な試験で検証 重症例で改善の可能性を示唆し、今後の研究に新たな知見

近畿大学東洋医学研究所(大阪府堺市)所長・教授 武田卓らの研究グループは、月経前症候群(PMS)※1 および月経前不快気分障害(PMDD)※2 の症状を有する女性を対象に、大豆イソフラボンから腸内細菌によってつくられる成分である「エクオール※3」を含んだ食品(大豆胚芽乳酸菌発酵物含有食品)の有効性を、治療薬の臨床試験などにも使われる厳密な手法で検証しました。その結果、治療は不要でも症状が重い女性ではエクオールを摂取した際に症状が大きく改善し、重症例に対しては有効性がある可能性が示唆されました。
本研究は、PMS・PMDDに対するサプリメントの効果を、厳密な評価方法で検証した世界的にも数少ない報告で、今後女性の健康支援に向けた研究の重要な基盤となる成果です。
本件に関する論文が、令和8年(2026年)7月30日(木)AM0:00(日本時間)に、東北ジャーナル刊行会が発行する総合医学雑誌"The Tohoku Journal of Experimental Medicine(ザ トーホク ジャーナル オブ エクスペリメンタル メディシン)"に掲載されました。
本件のポイント
PMS・PMDDを対象に、エクオールの効果を厳密な臨床試験で検証
全体では有意差は認められなかったものの、症状の重い女性では症状改善の可能性を示唆
●本研究は、PMS・PMDDに対するサプリメントの効果を、国際基準に基づく方法で厳密に評価した数少ない臨床試験で、今後の女性の健康支援につながる成果
本件の背景
PMSは、月経前の不快な精神・身体症状が特徴で、女性の約8~9割が何らかの症状を経験するとされ、日常生活や仕事のパフォーマンスに大きな影響を及ぼすことがあります。そのうち約5%に相当する重症型のPMDDは、生活の質(QOL)を著しく低下させることが知られています。
現在のPMSやPMDDの標準治療には抗うつ薬(SSRI)や低用量ピルなどがありますが、副作用や服用への抵抗がある女性もいるため、誰もが利用できる治療法ではありません。そのため、安全性が高く継続しやすいサプリメントなどの非薬物療法への期待が高まっています。
「S-エクオール」は大豆イソフラボンから腸内細菌によってつくられる天然型の成分で、女性ホルモン調節作用を有することから、更年期症状の改善などでエクオールが利用されています。大豆イソフラボンを摂取した際に、体内でエクオールを産生できる人は約30~60%程度と言われており、産生できない場合はサプリメントや食品等で補う必要があります。先行研究では、エクオールを自ら産生できない女性は、産生できる女性よりもPMSのリスクが高いことが示されているほか、エクオールは顔のほてりなどの更年期症状を緩和することが明らかになっていました。しかし、PMS・PMDDに対する効果については、厳密な臨床試験による先行研究がありませんでした。
本件の内容
研究グループは、20~45歳の女性のうち、治療を要しない程度のPMSまたはPMDD症状を有し、かつエクオールを産生できない女性を対象に、S-エクオール含有食品またはプラセボを3カ月間摂取してもらう試験を実施しました。
症状評価には、参加者が毎日症状を記録する、国際的に治療薬の治験でも使用される厳密な手法を用いました。その結果、主要評価項目では、エクオール群はプラセボ群より症状改善量が大きい傾向を示したものの、統計学的有意差はありませんでした。一方、症状が重い女性を対象とした解析では、エクオール群でより大きな改善が認められ、重症例ではエクオールの有効性を示唆する結果が得られました。
PMS・PMDDを対象として、治療薬の治験と同等レベルの評価方法でサプリメントの効果を検証した報告は世界的にも例がなく、本研究成果は今後、より大規模な臨床試験を実施する際に重要な知見になるとともに、フェムテック※4 を活用した女性の健康支援にもつながると期待されます。












