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YouTubeからプロリーグへ――ゴールデンリーガーズが挑む、3x3の新たな可能性

東京2020オリンピックを機に広く知られるようになった3人制バスケットボール「3x3」。その国内シーンに、YouTubeを「ホーム」とする異色のプロチーム「ゴールデンリーガーズ」が誕生した。Bリーグで指導経験を持つ福田秀憲氏が率い、石橋玲音、山ノ内ジャンら実績ある選手も所属。YouTube・SNSで培った発信力を武器に、2026-27シーズンから3XSへ参入する。競技での勝利とともに、3x3そのものをより多くの人へ届けようとする“令和型プロスポーツチーム”の挑戦を追う。

配信元: 株式会社インスパーク

文:高橋(スポーツライター)

東京2020オリンピックをきっかけに、日本でも一気にその名を知られるようになった3人制バスケットボール「3x3」。12秒のショットクロック、10分間または21点先取というスピーディーな試合展開。5人制とは異なる駆け引きや都市型スポーツとしての華やかさもあり、東京五輪では多くの人が初めて3x3という競技に触れた。一方で、オリンピックによって高まった認知を、その後どのように継続的な人気へつなげていくのか。国内では現在も複数のリーグや大会が開催されている。選手もいる。チームもある。それでも、普段から3x3を追いかけるファンをさらに増やし、競技の外側にいる人たちへどう届けていくかは、今後の3x3を考えるうえで大きなテーマの一つだろう。そんな国内3x3シーンに、異色のプロチームが誕生した。ゴールデンリーガーズ(GOLDEN LEAGUERS)。2026-27シーズンから3x3リーグ「3XS(トライクロス)」へ参入するプロ3x3バスケットボールチームだ。そして、このチームが「ホーム」として掲げるのは、特定の街でも、都道府県でも、アリーナでもない。YouTubeだ。

元3x3プロ選手・トカチョフサワ氏らが作ったYouTube番組が原点

ゴールデンリーガーズの原点にあるのが、YouTube番組「ゴールデンリーグ3x3」だ。中心人物の一人が、元3x3プロ選手でYouTuberとしても活動するトカチョフサワ氏。ゴールデンリーグは、単純に3x3の試合を配信する番組ではない。クリエイターやインフルエンサーらが「プレジデント」として参加し、オーディションで選手を選考。さらにドラフトを行ってチームを編成し、選ばれた選手たちが3x3で真剣勝負を繰り広げる。誰がオーディションを突破するのか。誰がどのチームから指名されるのか。選手にはどんな個性があるのか。試合だけではなく、選手が選ばれ、チームが作られ、戦うまでの過程そのものをコンテンツにしてきた。3x3を「見る競技」であると同時に、「選手を知り、物語を追いかけるコンテンツ」として発信してきたのである。

「この選手たちで、本当に強いチームを作ったら?」

番組を続ける中で、競技レベルの高いプレーヤーが次第に集まるようになった。コンテンツとしての面白さだけではなく、コート上でも本格的な3x3の勝負が生まれる。そして番組を通じて、選手を応援する視聴者も増えていった。そこで生まれたのが、「この選手たちで、本当に強いチームを作ったらどうなるのか」という発想だった。単なるYouTube企画で終わらせず、実際のプロスポーツの舞台へ出て、本気で勝利を目指す。その先に誕生したのが、ゴールデンリーガーズである。
最初にプロチームがあり、宣伝手段としてYouTubeを始めたのではない。YouTubeがあり、コンテンツが生まれ、選手と視聴者が集まり、コミュニティが形成され、その先にプロチームが誕生した。この順番こそ、ゴールデンリーガーズ最大の特徴と言っていい。

「ホームはYouTube」という令和型プロチーム

だからこそ、ゴールデンリーガーズはYouTubeをホームとして掲げる。単にYouTubeチャンネルを運営しているという意味ではない。チームが誕生する以前から、選手とファンが集まってきた場所がYouTubeだったからだ。日本のプロスポーツでは、特定の地域にチームが生まれ、地域企業や住民との関係を築き、ホームゲームを通じてファンを増やしていくモデルが一般的だ。従来型が、「地域 → チーム → ファン」だとすれば、ゴールデンリーガーズは、「YouTube → コンテンツ → コミュニティ → プロチーム」という流れで生まれた。ファンは同じ街に住んでいる必要がない。全国どこからでも動画を見て選手を知り、SNSをフォローし、チームを応援できる。オンライン上でコミュニティが形成されることが当たり前になった現代だからこそ成立する、令和型のプロスポーツチームとも言えるだろう。

ただの「YouTubeチーム」ではない

もっとも、「YouTubeから生まれた」という話題性だけが、このチームの特徴ではない。ゴールデンリーガーズは実際の競技リーグへ参入し、勝敗を争うプロ3x3バスケットボールチームだ。そのチームを率いるのが、球団代表・GMの福田秀憲氏。福田氏は、Bリーグ・しながわシティでファーストアシスタントコーチを務めるなど、プロバスケットボールの指導現場を経験してきた。YouTubeやSNSを通じて3x3を届ける力と、プロバスケットボールの現場で培われた競技的な視点。ゴールデンリーガーズが目指すのは、その両立である。

多彩なバックグラウンドを持つ選手たち

ゴールデンリーガーズのロスターを見ていくと、もう一つ特徴的な点がある。それは、選手たちのバックグラウンドの多様さだ。5人制のプロバスケットボール経験者や、国内3x3シーンで長くプレーしてきた実力者がいる一方で、モデル、教師、報道記者、SNSで大きな発信力を持つ若手選手など、通常のプロスポーツチームではなかなか見られない顔ぶれがそろっている。石橋玲音は、関東学院大学を経て、5人制では金沢武士団、湘南ユナイテッドBC、山口パッツファイブでプレー。3x3でも複数のチームで経験を積み、5人制と3x3の双方でプロの競技現場を知る選手だ。山ノ内ジャンも、国内3x3の複数チームでキャリアを重ねてきた実力派の一人。さらに、現役Bリーガーとして5人制のプロの舞台で戦う関野日久もロスターに名を連ねる。その一方で、バスケットボール以外の世界にそれぞれの顔を持つ選手たちもいる。モデルとして活動する選手、教壇に立つ教師、報道の現場で働く記者、そして中学生ながらSNSで多くのフォロワーを持つインフルエンサー。年齢も、職業も、歩んできたキャリアも違う。共通しているのは、3x3という競技に本気で向き合っていることだ。プロ経験者だけを集めるのではなく、異なる世界で活動する人材が一つのチームに集まり、それぞれの個性や発信力を持ち込む。「競技力」だけではなく、「人そのもの」にも注目したくなる。YouTube番組から生まれたゴールデンリーガーズだからこそ成立する、従来のプロスポーツチームとは少し違ったロスター構成だ。

2026-27シーズン、3XSへ

ゴールデンリーガーズは2026-27シーズンから、国内3x3リーグ「3XS」へ新規参入する。ここからはYouTubeの中だけでは完結しない。実際のコートへ出て、他の3x3チームと勝敗を争う。「面白いチーム」というだけでは通用しない。プロスポーツである以上、結果を求められる。

東京五輪の次へ。武器になる「SNS影響力」

同時に、ゴールデンリーガーズが3x3界へ持ち込もうとしているもう一つの武器が、YouTubeとSNSによる発信力だ。東京五輪によって3x3の認知度は大きく高まった。しかし、オリンピックをきっかけに競技を知った人を、その後の日常的な観戦やファン化へどうつなげていくのか。そこで、ゴールデンリーグが培ってきたコンテンツ力が生きる。試合結果だけではなく、オーディション、ドラフト、選手のキャラクター、試合前後の人間模様まで映像にする。それによって従来の3x3ファンだけではなく、YouTuberやクリエイターのファン、さらにはバスケットボールに詳しくない層にも競技との接点を作ってきた。ゴールデンリーグのYouTubeチャンネルは、チャンネル登録者数という指標では国内3x3の既存プロリーグ公式チャンネルを上回る規模にまで成長している。つまり、プロリーグへ参入する段階ですでに、自ら視聴者へ直接情報を届けるメディアを持っているのである。

「視聴者を連れてリーグへ入る」

通常、新しいスポーツチームは、所属するリーグを通じて認知を広げていく。リーグを見て、チームを知り、選手のファンになる。ゴールデンリーガーズは、その流れを逆転させる可能性を持つ。YouTubeですでに選手やチームを知っている視聴者とともに、3XSへ参入するからだ。「リーグへ入ってからファンを集める」のではなく、「すでに存在する視聴者とともにリーグへ入っていく」。そして、その視聴者が対戦を通じて他の3x3チームや選手を知り、実際の大会へ足を運び、日本代表や国際大会にも興味を持つようになれば、その影響は3XSだけにとどまらない。一つのチームが持つSNS影響力を、3x3という競技全体への入口にする。それが実現すれば、ゴールデンリーガーズの参入は、単にプロチームが一つ増えるという意味だけではなくなる。YouTube発のチームだからこそできる、新しい3x3ファンの生み出し方になるかもしれない。響力を、競技全体への入口にする。それが実現すれば、ゴールデンリーガーズの参入は、単にプロチームが一つ増えるという意味だけではなくなる。

再生回数では、試合には勝てない

もちろん、発信力だけでプロスポーツチームとして成功できるわけではない。福田氏も、チーム設立時に「プロチームとして活動する以上、最も大事なのは勝利」という考えを示している。どれだけ動画が再生されても、1点にもならない。どれだけフォロワーがいても、リバウンドは取れない。コートに立てば、問われるのは競技力だ。だからこそ、石橋や山ノ内、そして現役Bリーガーの関野といった選手を擁していることには意味がある。発信力。エンターテインメント性。競技力。この三つを同時に成立させられるのか。「YouTube発」という話題性だけで終わるのか、それとも本当に強いプロ3x3チームになるのか。その答えを出すのは、SNSではない。コートだ。

東京五輪の次の3x3ブームは、スマートフォンから生まれるかもしれない

東京オリンピックによって、多くの日本人が3x3という競技を知った。次に必要なのは、一度知った競技を「日常的に見るスポーツ」へ変えていくことなのかもしれない。その入口は、必ずしもテレビである必要はない。YouTubeかもしれない。Instagramかもしれない。TikTokかもしれない。一本の動画から一人の選手を知る。その選手からチームを知る。チームからリーグを知る。そして、3x3という競技そのものを好きになる。YouTubeをホームとするプロ3x3チーム、ゴールデンリーガーズ。東京五輪で多くの人に知られた3x3に、今度はYouTubeとSNSという武器で新しいファンを連れてくる。そして、その注目を競技全体へつなげられるのか。このチームがどこまで勝てるのか。どこまで3x3の裾野を広げられるのか。その挑戦は、まだ始まったばかりだ。

ゴールデンリーガーズ(GOLDEN LEAGUERS)

チーム名:ゴールデンリーガーズ(GOLDEN LEAGUERS)
競技:3x3バスケットボール
チーム区分:プロ3x3バスケットボールチーム
ホーム:YouTube
参入リーグ:3XS(トライクロス)
参入シーズン:2026-27シーズン
球団代表/GM:福田秀憲
母体コンテンツ:ゴールデンリーグ3x3
主な所属選手:石橋玲音、山ノ内ジャン、関野日久

筆者プロフィール

高橋/スポーツライター
3x3バスケットボールを中心に取材・執筆するスポーツライター。国内3x3シーンを継続的に追い、大会やリーグの動向、チームの戦術、選手のキャリアや人物像などを幅広く取材。試合結果やスタッツだけでは見えてこない3x3の奥深さと、コートの内外にあるストーリーを独自の視点で発信している。

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